韓国政府もスト回避に動き出す
サムスン、AIメモリ部門だけ「年収607%ボーナス」に不満爆発。最大5万人ストへ

サムスン電子の全国労働組合は、5月21日から最大18日間に及ぶストライキを実施する計画を正式に表明している。参加者は最大約5万人に達する見通しで、実施されればサムスン史上最大規模のストとなる可能性がある。
背景にあるのは、AI向けメモリ需要で巨額の利益を上げたメモリ部門に対し、年収の607%相当という高額ボーナスを提示した一方、赤字が続くファウンドリ(半導体受託製造)およびロジック部門には50〜100%しか提示しなかったという、極端な格差配分だと伝えられている。
これは、米Reutersが入手したサムスン電子の賃金交渉議事録をもとに報じた内容である。サムスンの半導体事業を担うDevice Solutions部門には、メモリ、ロジック、ファウンドリという3事業が同居している。メモリ事業はAI主導のHBM需要を背景に莫大な利益を上げている一方、残る2事業は合計で数兆ウォン規模の営業赤字を計上している。
議事録によると、副社長であり経営側交渉担当だったキム・ヒョンロ氏は、この格差は事業実績を反映したものだと説明している。同氏は、メモリ部門の利益がなければ他の半導体部門は崩壊、あるいは閉鎖されていただろうと主張し、「それでいて、成果給の支払いをどうやって正当化できるのか」と発言したとされる。
しかし組合側はこの論理を拒否している。組合委員長は、メモリ部門の従業員が5億ウォン(約5300万円)規模のボーナスを受け取る一方、ファウンドリ部門の従業員は8000万ウォン(約850万円)しか受け取れない状況では、深刻な人材流出を招くと反論した。
その後サムスンは、組合側の要求を受け入れる形で、キム・ヒョンロ氏を首席交渉代表から外したという。また、イ・ジェヨン会長も異例の公開謝罪を行い、対立を直接収拾するため海外出張を切り上げている。
Reutersによれば、サムスンのファウンドリ部門ではすでにチーム縮小が進んでおり、エンジニアがSK hynixやMicronへ流出しているという。これは先月、組合委員長チェ氏が「過去4か月だけで約200人のサムスン従業員がSK hynixへ移った」と指摘していた内容を裏付けるものでもある。
サムスンは、ロジック半導体の設計、ファウンドリ、自社メモリ生産をすべて手掛ける唯一の主要半導体企業である。しかし今回の議事録で露呈したボーナス格差は、収益性が大きく異なる事業を単一の報酬体系に押し込めることの問題を浮き彫りにした形だ。
4月に実施された1日限定のストライキは、本格的な全面停止がどれほど大きな影響を及ぼすかを示す前兆となった。影響を受けたシフトでは、メモリ工場の生産量が18%減少し、受託製造ラインの生産量は58%も落ち込んでいる。
サムスンは韓国全体の輸出の約23%を占め、国内だけで12万人超を雇用する巨大企業である。そのため韓国政府もスト回避に向け、「緊急仲裁」を検討していると報じられている。これは30日間にわたりストなどの争議行為を即座に禁止し、その間に国家機関が調停・仲裁を行う制度だ。
- Source: Yahoo! Finance
- via: Tom's Hardware
