そんななかアップルはiPhone 17eを実質値下げ

DRAM130%高騰、低価格PCは2028年に消滅との予測結果

多根清史

Image:mrfstudio/Shutterstock.com

現在のメモリおよびストレージ価格の高騰により、2026年のPC出荷台数は前年比10.4%減少し、500ドル未満のエントリーレベルPC市場は2028年までに消滅する――米大手IT調査企業ガートナーがそう予測している。

同社のニュースリリースによれば、DRAMおよびSSDの価格は2026年末までに130%上昇し、それがPC価格を最大17%押し上げる要因になるという。

「これは過去10年以上で最も急激なデバイス出荷の縮小だ。価格上昇により利用可能なデバイスの選択肢は狭まり、購入者はデバイスをより長く使い続けるようになるだろう。それは買い替えサイクルを根本的に変えるものである」と、同社シニアディレクターアナリストのRanjit Atwal氏は述べている。具体的には、ビジネスユーザーは15%、消費者は20%、従来より長く使い続けるようになる見通しだ。

さらに、部材価格の高騰によりノートPCの製造にかかる総部品コスト(BOM)が急増し、事実上エントリーレベルPC市場は消滅すると指摘する。「この急激なコスト増加は、ベンダーがコストを吸収する余地を奪い、低利益率のエントリーレベルのノートPCを成立不可能にする。最終的に、500ドル未満のエントリーPCセグメントは2028年までに消滅すると予想する」と付け加えている。

このAIに起因するメモリ危機は、AI PCの普及も遅らせるという。強力なNPUやGPUを搭載し、ローカルでAIモデルを実行できるPCは、相応量のメモリやストレージを必要とするためである。

ガートナーは以前、2028年までにAI PCの市場浸透率が50%に達すると予測していたが、現在はその見通しが後ろ倒しになるとしている。

PC分野以外では、スマートフォン業界が「最も大きな打撃」を受けるとも指摘する。メモリ価格が「エントリーレベルのスマートフォンに不釣り合いな影響を与える」ため、購入者はより手頃な買い替えを求めて整備済み品や中古市場に目を向けることになるという。

一方で、ハイエンドなPCとスマートフォンの市場が消滅することはない。ガートナーは、多くの企業が「収益性を維持するために販売数量の減少という現実を受け入れざるを得なくなる」と予測している。つまり、全体として製品数は減少するということだ。

こうした「メモリ危機」のなか、アップルは最新モデルiPhone 17eの価格を前モデル16eから据え置き、最低ストレージ容量を128GBから256GBへと引き上げた。実質的な値下げに踏み切った形である。他社が値上げを余儀なくされる混乱を逆手に取り、シェア拡大を狙う意図があるのかもしれない。

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