いろいろと複雑です

アップルとNVIDIA、2028年以降のチップ生産をインテルに委託する可能性

Munenori Taniguchi

Image:JHVEPhoto/Shutterstock.com

アップルとNVIDIAは、一部のチップの生産とパッケージングを米国でインテルに委託することを検討していると報じられている。なお、いずれの企業も今回の動きについてコメントしていない。

アップルとNVIDIAは、インテルの18A(あるいは18A-P)または14Aプロセス技術の採用を検討しているとすでに報じられている。しかし、DigiTimesによると、インテルにサードパーティの顧客向けに余剰の生産能力があるか、また現在TSMCが担っている両社のチップの設計・製造技術を自社工場に移植し、必要な性能と消費電力の目標を達成するチップを製造する手段を用意できるかはまだ不明だ。

とはいえ、両社がインテルを検討するのは技術的な理由ではなく、政治的・地政学的な理由、ストレートに言えばトランプ政権による関税リスクのためだ。そのため、それほど厳密に技術的要求を満たさずとも、両社はインテルへの委託を採用する可能性がありそうだとTom’s Hardwareは伝えている。

アップルがインテルにチップ製造の委託を検討していることはすでに報じられている。だがDigiTimesは、それはiPhone向けのAシリーズではなく、Macと一部のiPad向けのMシリーズ、それも上位のM ProやM Maxではなく、無印Mシリーズチップだと指摘している。

委託にあたりアップルは、目立つ性能低下がないよう、最新のマイクロアーキテクチャをインテルの生産ノードに移植する必要がある。そして、MacBook AirやiPad Proといった人気製品の競争力を、主な市場である米国で維持しなければならない。

無印Mシリーズはダイサイズが比較的小さく、パッケージングコストが比較的低く、歩留まりや性能変動に対する許容度が高い。そのため、米国市場のみをターゲットとするこれらのSoCを米国で生産することは理にかなっているとのことだ。

一方、NVIDIAの考えもアップルと基本的には似通っているが、AI向けGPUの場合やや複雑な状況であるようだ。

NVIDIAは2025年9月にインテルに50億ドルを投資すると発表している。これに続いて、発表したばかりのAIプラットフォームであるRubinシリーズの後継となる、FeynmanチップのI/Oダイの一部の生産で、2028年にインテルと提携する予定だ(同チップのGPUダイはTSMCが引き続き供給)。

さらにDigiTimesによると、NVIDIAはFeynman GPUの最大25%を米国インテルのニューメキシコ工場でEMIB技術を用いてパッケージングする予定だという。これにより、NVIDIAは米国製の二次供給ルート構築への長期的なコミットメントを示すという構図だ。そして残りの75%を占める “NVIDIAの最も複雑な作業” は、最も実績のあるパートナーのTSMCに引き続き委ねる。

この動きはTSMCにとってマイナスではなく、むしろプラスになりそうだ。小規模で重要度の低いチップの生産をインテルに任せることで米国政府の「規模が大きすぎる」ことに対する政治的な批判を軽減できる。また、このような計画により、TSMCに対する独占企業としての調査の可能性も低くなる。

さらにTSMCにとって好都合なのは、限られた工場スペースに余裕ができることだ。優良顧客に対し、最も収益性の高い高性能チップの製造に集中できるようになるだろう。

関連キーワード: