米ハイテク企業に大ダメージの可能性

米国、海外製DRAMに100%関税示唆。メモリ不足に追い打ち

多根清史

Image:slexp880/Shutterstock.com

すでにDRAM(メモリ)の不足と価格高騰が深刻化するなか、米商務長官のハワード・ラトニック氏が、米国国外でメモリチップを生産する企業に対し、100%の関税を課す可能性を示唆した。

ラトニック氏は1月16日、Micronのニューヨーク工場着工式で演説し、「トランプ大統領のもと、アウトソーシングを終わらせ、国内で未来を築く」と強調した。さらに記者の質問に対し、「メモリを製造したい者には二つの選択肢がある。100%の関税を支払うか、米国で建設するかだ。それが産業政策である」と語っている。

この発言は、主に韓国メーカーであるSK hynixとサムスンを念頭に置いたものとみられる。

SK hynixは最近、米インディアナ州に40億ドルを投資する計画を発表したが、新設工場は2.5Dの先端パッケージングや研究開発向けであり、DRAMの生産ラインが設けられるわけではない。一方、サムスンも米国内に大規模な半導体工場を保有しているが、その中心はAIやHPC向けチップのファウンドリ生産であり、メモリ生産は主に韓国や中国で行われている。

これに対しMicronは、CHIPS法の補助金を受けつつ、メモリ生産の約40%を米国に移管する方針を掲げ、9万人規模の雇用創出を打ち出している。アップルも昨年8月、米国内で新たに1,000億ドルを投資し、iPhoneやApple Watch向けガラス部品の国産化や、サムスンのテキサス工場との協力を進めると発表していた。

こうした「米国内回帰」の流れには、サムスンやSK hynixもある程度関与してきたが、今回の発言によって、メモリ生産までも米国内に移すよう強い圧力がかけられた形だ。

影響を受けるのは韓国企業だけではない。台湾のNanya TechnologyやWinbond Electronicsといったメモリメーカーも、生産拠点を米国に移さない限り、新たに導入される可能性のある100%という高関税の対象となりうる。

米Bloombergのコメント要請に対し、米商務省の報道官は「ラトニック長官は米国の製造業の優位性を取り戻すことに全力で取り組んでおり、その出発点が半導体である」と述べた。一方、サムスン、SK hynix、そしてワシントンの台湾代表部はいずれも、現時点ではコメントを出していない。

仮に100%のDRAM関税が導入されれば、すでに高騰しているメモリ価格に拍車がかかり、NVIDIAやアップル、AMDといった米国のハイテク企業にも大きなコスト増をもたらす可能性が高い。これら企業は韓国メーカーからのメモリ輸入依存度が高く、関税分を価格に転嫁せざるを得なくなれば、粗利益率の低下や国際競争力の喪失、さらにはサプライチェーンの混乱を招く恐れがある。

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