'23年末にM2を超えても、その前にM2 Proが投入されれば…
クアルコムのWinノート向け最新SoC、マルチコア性能はアップルM2比で約65%とのベンチマーク結果
ノートPC向けのArmベースチップとしては、目下アップルが「M1」や「M2」といったAppleシリコン(独自開発プロセッサ)を投入して独走中である。これに対抗できるのはクアルコムだけだと見られており、実際に同社のCEOは先日、M2を上回る市場において最高のプロセッサを開発できると宣言したばかりだ。ただし投入は、2023年末だとされている。
2022年6月現在、クアルコムのWindowsノートPC用フラッグシップSoCは「Snapdragon 8cx Gen 3」である。だが、この最新SoCのパフォーマンスが、M2チップに大きく後れを取っていることが指摘されている。
今のところSnapdragon 8cx Gen 3は、Lenovo製のモバイルノートPC「Lenovo ThinkPad X13s」(日本では6月内に発売予定)に搭載されている。クアルコムは同チップの開発にかなりの時間を掛けており、前世代(Snapdragon 8cx Gen 2)よりもCPUのマルチスレッド性能は85%、シングルスレッドは40%、GPUの性能は60%向上したとアピールしていた。
では、実際にどれほど速いのか。そのベンチマークを「SkyJuice」なるTwitterユーザーが公開している。
今年4月にテストされたというThinkPad X13s(Geekbench 5での表記はLENOVO 21BYZ9SNUS)のシングルコアスコアは1111、マルチコアスコアは5764とのこと。これに対してM2は、シングルコアで1919、マルチコアスコアが8929との報告があった。
これに先立ち、昨年3月にはSnapdragon 8cx Gen 3を搭載したQRD(Qualcomm Reference Design)」試作機のシングルコアスコアが982、マルチコアスコアが4918とのリーク情報もあった。それから完成度を高めたとすれば、上記の数値は妥当といえそうだ。
ともあれ今回のベンチマークが正しければ、Snapdragon 8cx Gen 3はマルチコア性能において対M2で約65%相当ということになる。さらに言えば、M2よりも約20%劣る、2020年発売のM1チップよりも遅いというわけだ。
大手リサーチ会社Strategy Analyticsのアナリストは、アップルのMシリーズチップは他社のArmベースプロセッサより最大3年のリードを保っていると述べていたが、それが数値により実証された印象はある。
クアルコムCEOの「M2チップに勝てる」との自信は、昨年初めに同社が14億ドルで買収したNuviaチームへの信頼に基づいている。Nuvia社は、元アップルのAシリーズチップ(A7~A12X)開発を主導した人物を中心とするグループである。
とはいえ、アップルも競合他社の動きをただ待っているわけではない。今年後半には、新たな「M2 Pro」が台湾TSMCの最先端3nmプロセスにより量産が開始され、5nm製造のM1 ProやM1 Maxよりも性能と電力効率ともに高くなるとの予想もある。
もちろん、消費者にとってはどちらが勝とうが構わない。アップルとクアルコムほか競合各社がArmベースチップの性能向上を競い合い、MacBookやノートPCがより速く、より電力効率が高まっていくと期待したいところだ。
- Source: Skayjuice(Twitter)
- via: Wccftech