その代わり値上げの可能性

iPhoneの供給不安が後退? サムスンがメモリ下支えか

多根清史

Image:MZinchenko/Shutterstock.com

アップルは、iPhone 17向けメモリを十分に供給できなくなったMicronおよびSK hynixに代わり、サムスンを主力サプライヤーとして選定したと報じられている。

背景には、AIデータセンター向け需要の急拡大がある。高帯域幅メモリ(HBM)の需要と価格が急騰したことで、MicronとSK hynixは、スマートフォンに用いられるDRAMよりもHBMの供給を優先する姿勢を強めている。この状況は今後数年続くとみられており、Micronが消費者向けCrucialブランド事業からの撤退を発表したのも、その延長線上にある。

韓国経済新聞によると、サムスンはNVIDIA向けなどにHBMを供給しながらも、アップルが求めるLPDDR5Xメモリを安定して製造できる体制を維持しているという。その結果、iPhone 17向けLPDDR5Xメモリにおいて、サムスンが最大供給企業となり、シェアは60〜70%に達したと推定されている。

アップルは部品に対し、JEDEC規格を上回る厳格な品質基準を課している。具体的には、製品間のばらつきがないこと、Aシリーズチップとの高い安定性、電圧スパイクへの耐性などが求められる。こうした条件を満たしつつ、最大2億3000万台規模のiPhone向けにメモリを供給できる企業は、現時点ではサムスンのみだとされている。

さらにアップルは、次期iPhone 18シリーズ向けについても、サムスンに大量のメモリを発注したと報じられている。12GB LPDDR5Xメモリ(iPhone 17 Pro/Pro Max/Air向け)の価格は、年初の約30ドルから70ドルへと急騰しており、これがサムスンの収益拡大を後押ししているという。

なお、この報道に先立ち、アップルとサムスンの長期供給契約が期限切れを迎え、サムスンが値上げを求めているとも伝えられていた。そのコスト増がiPhone 18シリーズの販売価格に転嫁されるのか、あるいはアップルが吸収して価格を据え置くのか。今後の続報が注目されるところだ。

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