サムスンは自社グループ内でも長期契約を拒否

アップル、メモリ高騰でコスト増か。サムスンやSKとの長期契約が期限切れの噂

多根清史

Image:iFixit/YouTube

最近のAIブームによりDRAM(メモリ)の供給が逼迫し、価格が高騰している。ノートPCなどは大幅な値上げが予告されており、市場全体に影響が及び始めている。その一方で、アップルなどの大手スマートフォンメーカーは、メモリメーカーとLTA(Long-Term Agreements=長期契約)を結んでいるため、短期的には影響を受けにくいと見られてきた。

しかし、そのLTAが間もなく期限切れを迎え、サムスンやSK hynixがアップル向けメモリ価格の引き上げを計画しているとの噂が報じられている。

この情報は、韓国半導体事情のリークで知られるアカウント@jukan05が、X(旧Twitter)上で述べているものだ。同氏はさらに、電子機器の購入を検討している人に向けて「今すぐ買うべきだ。これが最安値になるだろう」と付け加えている。

今月初めには、サムスンの半導体部門(DS)が、自社のモバイル部門(MX)からのDRAM長期供給要請を拒否し、従来通り3か月ごとの契約を維持したと報じられた。MX側はメモリ価格の高騰に苦戦しているが、DS側は利益の最大化を優先し、グループ内取引であっても市場価格を適用する方針を取った形だ。この流れを考えれば、DSがアップルなどの大口顧客に対しても強気の姿勢を示すのは不思議ではない。

サムスンおよびSKは、世界のDRAM市場の約70%を占めている。しかし両社は、供給過剰のリスクを警戒し、急激に製造設備を増強するつもりはないと表明している。両社とも「収益性」を重視しており、メモリ不足は2028年まで続くとの見方が有力だ。メモリ価格が高騰して十分に利益が出ている以上、無理に増産する必要はないという打算だろう。

もしアップルがサムスンやSKに対してプレミアム価格を支払うことになれば、将来的に多くの製品が値上げされる可能性がある。具体的には、低価格MacBook、M5 MacBook Air、iPhone 18シリーズ、折りたたみiPhone、有機EL搭載のM6 MacBook Proなどが挙げられる。

もっとも、アップルは自社製チップの採用比率を高めており、これによってコスト増を吸収できる可能性もある。たとえば、iPhone 16eに搭載されているC1モデムは、従来のクアルコム製モデムと比べて、1台あたり約10ドルのコスト削減になると見積もられている。

アップルがメモリコストの上昇分を消費者に転嫁して値上げに踏み切るのか、それとも自社で吸収するのか。今後の続報を待ちたいところだ。

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