3nmではサムスンが先行する可能性もあり
台湾TSMC、2025年までに2nmチップ生産開始と発表。iPhoneやMacの性能も向上か
iPhoneやMac向けチップを製造する台湾TSMCは、2025年までに2nmチップの生産を開始すると発表した。インテルやサムスンも同様の発表をしていたが、TSMCが生産スケジュールを具体的に明示したのは今回が初めてのことだ。
日経の英字メディアNikkei Asiaによると、TSMCが米国で2年ぶりに行った対面式イベントで発表したとのことだ。それによれば、この2nm技術は「ナノシートトランジスタアーキテクチャ」に基づいており、性能と電力効率の大幅な改善を実現するという。ナノシートアーキテクチャは、5nmチップなどに使われているFinFETインフラとは全く異なるもので、こうした先端技術を使うためには、大規模な投資が必要と説明されている。
ここでいう「○nm」とは半導体回路の線幅を意味しており、プロセスルールと呼ばれる。この数値が小さくなればなるほど、一般的に処理能力が向上し、消費電力は削減される傾向がある。iPhone 13に搭載のA15 BionicやMac/iPad用のM1チップ、および後継のM2チップは、TSMCの5nm技術により製造されている。
今後のAppleシリコン(アップル独自開発チップ)については、2023年のMacやiPhone、iPad向けに3nmチップを製造するようTSMCに働きかけているとの報道もあった。
この3nmプロセッサーには「最大4つのダイが搭載され、1チップあたり最大40ものCPUコアが積まれる」可能性があるとのこと。この第3世代チップ(「M1」「M2」に続く世代)には3つのバージョンがあり、それぞれ「Ibiza」「Lobos」「Palma」という社内コードネームであると伝えられていた。
ここ数年、TSMCはプロセスルールの微細化をめぐる競争で独走していたが、最近その状況は変わりつつある。昨年末には同社が3nmプロセスへの移行に苦労しているとの観測もあり、今年秋の「iPhone 14 Pro」モデルに搭載されるA16(仮)チップも5nm製造に留まるとの予想も有力となっている。
かたやインテルは、2025年までにチップ製造技術のリーダーシップを取り戻すと公約し、2021年半ばに1.8nm技術(同社が18A技術と呼ぶもの)を初めて公開していた。
またサムスンは4月に、今年6月末までに3nmチップを生産すると発表している。それに続き今月には、同社がAndroid向けSoC「Exynos 2300」を3nmで製造し、次期「Galaxy S23」シリーズに搭載するとの噂話もあった。
M2チップは確かにM1よりも性能は改善されているが、基本アーキテクチャや製造技術はほぼ同じであり、性能差は主にクロック数の向上によるものと推測される。スマートフォン用チップとして優位を誇っていたAシリーズチップも、いよいよ王座を脅かされるのかもしれない。
- Source: Nikkei Asia
- via: 9to5Mac