長年目指していた「一枚のガラスのようなiPhone」が実現?

iPhone20周年記念モデル、ついに物理ボタン廃止か

多根清史

Image:Wongsakorn 2468/Shutterstock.com

2027年に発売予定の20周年記念モデル「iPhone 20」では、従来のボタンがすべてハプティックス(触覚フィードバック)を活用した、物理的に動かないソリッドステートボタンに置き換えられる見込みだと報じられている。つまり、iPhoneの外装からは開口部が完全に姿を消すことになる。

中国の著名リーカー、刹那数码(Instant Digital)氏によると「iPhoneのソリッドステートボタンは機能検証を終え、iPhone 20に導入される予定だ。その際、電源・音量・操作・カメラ制御などの各ボタンは、局所的な振動フィードバックを備えたソリッドステートボタンへとアップグレードされる」という。

このプロジェクトは2022年から「Project Bongo」として噂されており、当初は2023年発売のiPhone 15 Pro向けに開発されていた。しかし技術的な課題により中止され、続くiPhone 16 Proでも採用が見送られた経緯がある。

その後も刹那数码氏は「アップルは依然としてハプティック(触覚フィードバック付き)ボタンの導入を検討中」とし、「このプロジェクトはiPhoneのみならず、iPadやApple Watchなどアップル製品全体に広がる構想だ」と付け加えていた。

ソリッドステートボタンは物理的に動く部品が存在しないため、摩耗や経年劣化が大幅に減り、結果として故障しにくくなる。さらに、開口部がなくなることで防塵・防水性能が向上し、デザイン面でもシームレスで革新的な印象を与えることができる。

今回の報告によれば、現行の設計ではボタンがフレームに直接統合され、押し込んだ際の物理的な動きはゼロになるという。アップルは、金属製の隆起部分を押すような感覚ではなく、本物のボタンを押しているかのような自然な感触を実現することを目指しているとされる。

そしてボタンの開口部がなくなることに伴い、スピーカーの開口部も廃止される可能性が高い。この点について刹那数码氏は、アップルが背面パネルやフレームを利用して音を発生させる振動ベースのサウンドシステムと、AIによる音響補正アルゴリズムを組み合わせる技術を検討していると推測している。ただし、音質面での向上は容易ではないとも述べている。

この噂は、iPhone 20周年モデルが「一枚のガラスのような」ベゼルレスデザインになるとの予想とも一致している。アップルはすでに、四辺すべてに沿って曲面を描くディスプレイを開発中とされており、境界のない視覚体験を実現する見通しだ。

もっとも、これまでソリッドステートボタンの導入が見送られてきた背景には、物理ボタンのような自然な押下感を振動で再現する難しさ、長期使用に耐えうる堅牢性の検証不足、そして筐体設計や製造工程の大幅な見直しを迫られるといった複数の課題があるとみられている。すべての物理ボタンを排したiPhoneの実現は、アップルにとっても依然として高いハードルであるが、次なる続報を待ちたいところだ。

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