どれも新型PSポータブルを裏付けるものばかり

ソニーとAMD、次世代GPUを共同開発。PS6登場は「数年以内」

多根清史

Image:agencies/Shutterstock.com

ソニーの次世代ゲーム機(おそらくPS6)が「数年以内」に登場すると、PS5およびPS5 Proのリードアーキテクトであるマーク・サーニー氏が明かした。これは、同氏がAMDコンピューティング&グラフィックス事業部門の上級副社長兼GMであるジャック・フィン氏とともに出演した、両社の次世代GPU技術に関する解説動画内での発言である。

ソニーとAMDは、グラフィックスおよびゲーム体験の強化を目的とした共同プロジェクト「Project Amethyst」を推進しており、その成果の一端はすでにPS5 Proに搭載された超解像技術「PSSR(PlayStation Spectral Super Resolution)」として結実している。両社はさらに2026年に向けて、新たなアップグレードを計画しているという。

サーニー氏は現行のレイトレーシング技術が限界に達していると指摘し、次世代のAMD RDNAアーキテクチャの要素を将来のPlayStation向けに統合する取り組みを進めていると語った。

一方のフィン氏は、AMDの新技術「Radiance Cores」を紹介した。これはNVIDIAのRT Coresに類似する専用ハードウェアブロックで、レイトレーシングやパストレーシングを高速処理するために設計されているという。Radiance Coresはソニーの新型ゲーム機だけでなく、AMDの次期デスクトップGPUや、Microsoftとの協業による次世代Xboxにも採用される可能性がある。

フィン氏によれば、Radiance Coresは演算負荷の高いレイトラバーサル(光線追跡の演算)を専任で処理するため、GPU本体は得意とするシェーディングやライティングに専念できるようになるという。従来のGPUでは、1つのシェーダープログラムがレイトラバーサルとシェーディングという性質の異なる処理を同時に担う必要があり、それが性能のボトルネックとなっていた。Radiance Coresの導入によって、その制約が大幅に緩和される見通しだ。

さらに、この新GPU技術はAMDのAI支援型アップスケーリング技術「FSR Redstone」や「Neural Radiance Caching」との連携も想定されており、描画品質と処理効率の両面で大幅な進化が期待できる。

圧縮技術の改良にも重点が置かれている。ソニーはPS5およびPS5 Proに採用している「Delta Color Compression」を発展させた「Universal Compression」を次世代GPUで採用する予定で、これによりメモリ帯域の制約を緩和し、「より多くの描画情報、より高いフレームレート、そして高効率動作」を実現すると説明している。

メモリ帯域幅の使用量削減によってGPU全体の動作効率が向上し、その結果として「消費電力の低減」も期待できるという。GPUの負荷軽減や帯域節約、低消費電力化といった方向性は、以前から噂されている「PS5互換ソフトが動作するポータブル型PlayStation」の存在を補強するものだ。

ただしサーニー氏は、これらの技術はまだ「非常に初期段階」であり、「現時点ではシミュレーション上でのみ検証が進んでいる」とも述べている。少なくとも1〜2年以内にPS6や新型PSポータブルが登場する可能性は低く、正式発表まではしばらく時間を要する見通しだ。

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