グラフィック向上、プレイも奥深くなる?
ソニーとAMD、グラフィックスやゲームプレイ向け機械学習で「より深い連携」
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)はAMDとのパートナーシップをさらに進展させ、グラフィックスやゲームプレイ向けの機械学習技術に焦点を当てた「より深い連携」を始めたことを発表した。両社はすでに、AMDのRNDA 2アーキテクチャをベースとしたPS5/PS5 ProのGPU開発で協力しており、特にPS5 Proでは「PSSR(PlayStation Spectral Super Resolution)」技術により画像の鮮明さとフレームレートを向上させている。
その一方で、同社はリードアーキテクト(ハードウェア設計での中心的役割)マーク・サーニー氏がPS5 Proの技術的側面や、AMDとの複数年にわたるプロジェクト「Amethyst」を説明する37分間のプレゼン動画も公開している。
まずPS5 Proについては、「RDNA 2.X」なるものを使っていると説明。新型GPUはPS5のものをベースに、より高度なRDNA3アーキテクチャから厳選した機能を追加したとのこと。具体的にはAMDが将来のRDNA技術に位置づけるレイトレーシングと、PS5 Pro用に開発したカスタム機械学習機能と組み合わせているという。
そしてProject Amethystでは、サーニー氏は2つの目標を掲げている。1つ目は「機械学習のための、より理想的なアーキテクチャ」とのこと。そこにはゲームグラフィック用の軽量畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を特に得意とするものを含めると述べている。
2つ目の目標は、「高品質なグラフィック用CNNのセット」を開発すること。これらはゲームグラフィックの表現力を高めるとともに、レイトレーシングとパストレーシング(光の挙動をシミュレートする)をより広く活用する上で重要な役割を果たす見通しとされる。
SIEとAMDともに、この技術をPlayStation専用にせず、様々なデバイスでの「幅広い作業と機械学習」のサポートを目指しているという。メディアの取材に対し、サーニー氏は「PC、ゲーム機、クラウドのすべてで幅広く利用できるもの」だと語っている。
このProject Amethystの成果が出るのは、まだ先のことになるようだ。サーニー氏はEurogamerに対して「すぐに何か大きなハードウェアの発表があるとは思わないでもらいたい」と述べている。プレゼン動画の中でも、ゲーム機の開発には「およそ4年間の道のり」が必要なため、Amethystの技術を実装したハードウェアはPS6まで待つ可能性があるとしている。
さらにサーニー氏は、ゲームにおける機械学習の使用はグラフィックライブラリに制限されるべきではない/制限できないとして、ゲームプレイにもAIと機械学習の成果が及ぶと発言。それらに開発者がアクセスできる「機械学習の民主化」も目指していると語っている。
今後はグラフィック向上の一方で、たとえばゲーマーの腕前に応じてAIがアシストする等の改良が広がっていくのかもしれない。
- Source: PlayStation.Blog
- via: The Verge