TSMCといえどもトラブルに直面しないとは限らず

アップル、「M3」チップのコア設計を開始? 2023年後半のMacBook Airに搭載される可能性

Image:Hikari0909/Shutterstock.com

次期14インチ/16インチMacBook Proの量産が今年秋に始まるものの、搭載プロセッサの「M2 Pro」や「M2 Max」は5nmプロセスのままだとのアナリスト予測が報じられていた。これらは3nmプロセス、つまりM2チップの5nmプロセスよりも高度な製造技術が使われるとの噂話もあったが、M2世代のチップはすべて5nmに留まる見通しが強まってきたしだいだ。

それに続き、後継チップの「M3」世代は新たなコア設計が始まっており、台湾TSMCの3nm技術により製造され、早ければ2023年の後半に投入されるとのサプライチェーン情報が伝えられている。

台湾の経済メディア工商時報によれば、M3のコードネームは「Malma」で、TSMCの「N3E」技術により量産される見通しとのことだ。N3Eとは、同社の3nmプロセス技術「N3」の改良版のこと。N3はN5(5nm技術)よりも、性能は最大で15%、省電力性は30%改善されると言われており、N3Eはそれ以上の飛躍が期待できそうだ。

ちなみに、ここでいう「5nm」「3nm」などは半導体の回路線幅を意味しており、プロセスルールと呼ばれる。この数値が小さくなればなるほど、一般的に処理能力が向上し、消費電力は削減される傾向がある。

さらに今回の記事では、M3は2023年の後半~2024年前半に発売予定の次世代MacBook Air、およびiPad Air/Pro製品群に搭載される見込みだとされている。

かたや年内のM2 ProやM2 Maxは「GPUコアにより差別化」され、新世代のMacBook ProとMac Studioに搭載されるとのこと。これらM2世代についてはプロセスルールへの言及がない一方で、3nmプロセスのM3が2023年以降だと強調されていることから、やはり5nm技術に据え置かれるようだ。

これらの情報をまとめると、2022年内のアップル製品には5nmチップが搭載され、3nmチップへの移行は2023年後半以降のこと。つまり、3nm時代は2023年のiPhone用「A17」チップを皮切りに、順次MacやiPad Proにもやって来ることになりそうだ。

もっとも、TSMCにとっても3nmという超微細な回路線幅でチップを大量生産することはたやすいとは思えず、なんらかの問題に直面する可能性もある。それによりアップルもM3搭載MacやiPadを発売延期する事態もありそうだが、今後の展開を見守りたいところだ。

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