サムスンはテスラのために製造

テスラがサムスンと165億ドルの契約締結。自動運転からロボットまでカバーする次世代AIチップを製造

Munenori Taniguchi

Image:Mareks Perkons / Shutterstock

テスラのイーロン・マスクCEOは、サムスンがテキサスに建設する巨大な工場が、テスラの次世代「AI6」チップを製造するとXへの投稿で述べた。

サムスンはテスラの現行AIチップである「AI4」の生産を担っているが、マスク氏はその次の世代となる「AI5」の設計を、テスラとTSMCの共同で行っており、その設計が完了したばかりだとした。主にFSDオプションに用いられるこのチップは、まずはTSMCの台湾工場で製造され、その後アリゾナ州の工場で生産される予定だという。

一方、AI6チップは、将来的な「監視付きFSD」用のチップとして以外に、テスラのヒト型ロボットであるOptimus、さらにデータセンターにおけるAIトレーニングといった多様な用途にこれひとつで対応することが計画されている。

テスラはAI6チップの製造のために、サムスンに165億ドル以上を投じる可能性があるとマスク氏は述べている。サムスンは今年4月、ファウンドリー事業において、2nmプロセスでの半導体の量産を開始し、次世代技術の大型受注獲得を目指すとしていた。しかしその受注状況は期待に反し、サムスンは第2四半期の利益が大幅減となる見通しになっていたため、今回の契約はサムスンにとっても非常に重要なプロジェクトになりそうだ。

テスラは当初、自動運転用のユニットにNVIDIAのDriveプラットフォームを採用していたが、2019年に独自のカスタムチップに切り替えた。FSDコンピューター(FSDC)、またはハードウェア3(HW3)と呼ばれるこのチップは、同年に発売されたすべてのEVに搭載されるようになり、サムスンが製造するFSDCは、1つの基板上に同じシステムを2基並べて搭載している。これは自動運転システムに求められる冗長性を確保するための設計だ。

HW3以降、テスラはカスタムチップ開発に注力しており、自動運転だけでなくAI、ロボティクスへと事業の拡大を進めるテスラにとって、重要な技術となっている。

なお、マスク氏は(本気かどうかはわからないが)サムスンの新工場は自宅からそう遠くない場所にできるとし「これは重要なポイントだ。私は自ら現場に立ち、進捗を加速させるつもりだ」と述べている。

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