アップルからの信用を取り戻せるのか
アップル「Mチップ」、インテルが製造する可能性。ファウンドリ事業にとって“最後の希望”に?

インテルは現在、深刻な業績不振に陥っており、2025年第2四半期決算では株価が8.5%下落した。新CEOのリップ・ブー・タン氏は就任以来、大規模な事業再編とロードマップの見直しに取り組んでいる。
そうした中、アップルが同社のファウンドリ(半導体受託製造)事業の顧客になる可能性があると著名アナリストが報じている。
苦境にあるインテルにとって最大の賭けは、自社で主導する次世代製造プロセス「14Aノード」である。米Reuters報道によれば、タンCEOは「14Aで主要顧客を少なくとも1社確保できなければ、最先端製造事業を閉鎖する」と明言したという。さらに「顧客の確約が得られた分だけ投資する」という慎重な姿勢を示している。
この件につき、著名アナリストのJeff Pu氏は投資家向けメモで、アップルやNVIDIAが14Aノードに関心を示しており、試作チップ開発のために早期設計キット(PDK)の配布が開始されていると述べている。特にアップルは、これまでTSMC独占だったMシリーズチップの製造において、地政学的および貿易リスク(主に対中国リスク)を回避するため、米国に製造拠点を持つインテルとの提携を検討している可能性があるという。
かつてアップルはMacにインテル製チップを搭載していたが、2020年末からAppleシリコン(自社開発チップ)への移行が始まり、2023年6月のMac Proをもって完了したと正式に宣言された。インテルがiPhone搭載のチップ製造について協議したが最終的に実現しなかった経緯は、TSMC創業者自らが語っていたことがある。
また、NVIDIAも低価格のゲーミングGPUに14Aノードを採用する可能性があるとされる。同社もアップルと同様にTSMCへの依存度が高く、地政学的リスク回避や供給安定性向上のため、インテルとの提携を視野に入れていると以前から観測されていた。
ただし、インテルは次世代ノードで復活を狙いながらも苦戦が続いている。20Aはコスト効率の悪さや設備投資削減のため事実上キャンセルされ、18Aも「歩留まり(良品率)が10%程度」との報道を受け、主要顧客が契約を取り下げたと見られている。アップルがこうしたリスクを承知でインテルとの提携に踏み切るのか、今後の展開を注視したい。
- Source: 9to5Mac