内蔵コイルが多く発熱がひどかった説もアリ

幻のアップル製品「AirPower」試作機の内部がわかる動画

Image:Apple

かつてアップルは、ワイヤレス充電マット「AirPower」を公式イベントで予告しながら、結局は発売中止することになった。複数のデバイスを同時にワイヤレス充電できるはずの野心的な製品は、日の目を見ずに生涯を閉じたのである。

その開発過程で作られた3つのプロトタイプをYouTuberが入手し、アップルが予告した通りに動作することを実証した動画を公開している。

もともとAirPowerは2017年9月、iPhone史上初めてワイヤレス充電に対応したiPhone XおよびiPhone 8/8Plusと同時に発表された。iPhoneやAirPodsケース、Apple Watchを同時に、マットのどの場所に置いても充電が可能で、iPhone上ですべての機器の充電状態を確認できるはずだった。

が、その1年後のiPhone発表イベントでは言及がなかったばかりか、公式サイトからAirPowerのページや画像があとかたもなく消し去られていた。当時の最新機種、iPhone XSやXS Maxのワイヤレス充電は速くなっていたのに言及されなかったのは、AirPowerが発表できないからではないかと推測されていた。

そして発表から約1年半後、AirPowerは正式に発売中止となった。アップルのハードウェアエンジニアリング担当上級副社長、ダン・リッキオ氏が、TechCrunchに「努力の末、AirPowerは我々の高い要求水準を満たすことはできないと結論を下し、プロジェクトを中止しました。本製品の発売を楽しみにしているお客様にはお詫び申し上げます」との声明を出したのである。

ちなみに、当時の第2世代AirPodsとワイヤレス充電ケースのセットには、次のような表記が載っていた。本当に、発売寸前で断念したのだろう。

なぜ発売できなかったのか。問題は3つあったと言われている。1つは発熱が大きく、充電性能の低下を引き起こすこと。2つ目はデバイス間の通信にバグが多いこと。3つ目はマットのどこに置いても充電できるよう搭載された20個以上のコイルが干渉し合うことだと、有名リーカーSony Dickson氏が「複数の内部ソース」からの情報として伝えていた。

さて、今回公開された複数のプロトタイプは、試作機コレクターのDongleBookPro氏が入手し、技術系YouTuberのLuke Miani氏に貸し出したものだ。Miani氏はM2チップを旧型のMacBook Proに移植してみた」動画が記憶に新しいだろう。

1つは、アップルがAirPowerを発表する1年前にさかのぼる超初期バージョン。この試作機には16個のコイルを搭載し、もう1つの後期バージョンは22個のコイルを内蔵している。2年前に、中国ビリビリ動画で公開されたものは14個のコイルを持っていたが、いずれにせよ「内部にぎっしりとコイルが詰まり、キーボードのような金具で区分けしている」点は共通している。

そしてMiani氏は一瞬だけワイヤレス充電に成功しているが、すぐに電源が切れ、再起動することになっている。

この動画は、ハードウェアの構造以外は分かりやすいとは言い難いが、今月初めにアップル製品コレクターのGiulio Zompetti氏が公開した動画では「iPhoneを充電マット上に置くと、画面にアニメーションが表示される」動作がはっきりと確認できる。

結局、アップル純正のワイヤレス充電器の発売は、2020年末、iPhone 12と同時発表されたMagSafe充電器の登場を待つことになった。

これら試作機の数々を見るかぎり、あまりに複雑すぎてコストも高くなり、故障しやすくなるとも推測され、発売が見送られたのもやむを得ないのかもしれない。

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