Bluetoothメッシュネットワークは以前からあった技術

Twitter創業者、インターネット不要のメッセージングアプリ「Bitchat」発表

多根清史

Image:Jack Dorsey

Twitter(現X)共同創設者で元CEOのジャック・ドーシー氏は、インターネットやサーバーを一切必要としない分散型メッセージングアプリ「Bitchat」を発表した。

本アプリはBluetoothメッシュネットワーク上で動作し、端末(スマートフォン)同士が直接通信する。そして各端末がネットワークのノードとなることで、通信範囲を広げる仕組みとなっている。

これによりWi-Fiや携帯回線がなくても利用可能であり、通信が遮断されたり、インターネットが使えない状況でも動作する。サーバーやアカウント、電話番号、メールアドレスなども一切不要である。メッセージは端末内にのみ保存され、デフォルトで自動消去される仕組みとなっており、エンドツーエンド暗号化にも対応しているという。

さらに、ハッシュタグでグループを作成し、パスワード保護をかけることも可能である。オフライン中のユーザー向けには、一時的にメッセージを保存・転送する「ストア・アンド・フォワード」機能も搭載されている。

ドーシー氏はかねてより分散型コミュニケーションプラットフォームの支持者であり、かつて支援していた「Bluesky」もまた、ユーザー自身が主導権を持つことを重視したオープンソースのフレームワークで構築されている。今回の「Bitchat」も、「中央集権からの脱却」と「ユーザーのプライバシー保護」を強く意識した実験的プロジェクトであると見られる。

なお、この種のテクノロジー自体は何年も前から存在していた。2019年から2020年にかけての香港民主化デモの際にも、Bluetoothメッシュネットワークを利用したアプリ「Bridgefy」が活用され、デモ参加者の間で広く使用されていた経緯がある。

「Bitchat」は現在、TestFlightを通じてベータ版として提供されているが、現時点では参加枠が満員となっている

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