Metaも買収を持ちかけたが失敗との報道

アップル、有力AI検索「Perplexity」買収を検討中?競合サムスンとの争奪戦も

多根清史

Image:T. Schneider/Shutterstock.com

アップルが、AI検索エンジンを開発する有力スタートアップ「Perplexity AI」の買収を社内で検討していると、米Bloombergが報じている。

Perplexityは、リアルタイムで最新情報を検索・要約し、出典付きで回答を示す対話型の検索エンジンである。従来の検索エンジンのようなリンクの羅列ではなく、直接的で簡潔な回答が得られること、参照元が明示されているため情報の信頼性を確認しやすいこと、さらに追加質問によって深掘りできる点などが高く評価されている。

アップルの内部事情に詳しいMark Gurman記者によれば、同社の合併・買収(M&A)担当責任者アドリアン・ペリカ氏、サービス部門責任者エディ・キュー氏、そしてAI部門の幹部たちがこの案を検討中とのことだ。ただし、この議論はまだ初期段階にあり、必ずしも買収オファーに至るとは限らないという。

この報道に対し、アップルはコメントを拒否した。一方、Perplexity側は「現在または将来の合併・買収に関する協議について、いかなる情報も持っていない」とする声明を出している。

アップルがPerplexityに買収提案を行うかどうかは、現在進行中のGoogleに対する反トラスト法裁判の結果に左右されるとされている。アップルはGoogleをiPhoneのデフォルト検索エンジンとする契約により、年間200億ドルもの収益を得ているが、判決次第ではこの契約が無効になる可能性があるためだ。

なお、Perplexityの直近の評価額は140億ドルとされており、アップルが買収を実行すれば過去最大規模のM&Aとなる。これまでの最高額はBeats買収時の30億ドルであり、それを大きく上回ることになる。

買収以外の選択肢として、アップルはPerplexityと提携し、SafariやSiriへのAI検索機能統合も視野に入れているという。両社はここ数ヶ月の間に複数回の会談を重ね、技術的な協議を行ってきたとされている。

ただし、Perplexityはサムスンとも広範な提携交渉を進めていると報じられている。GalaxyスマートフォンにPerplexityのアプリをプリインストールする案や、独自ブラウザに統合する計画などが含まれているようだ。この契約が成立すれば、アップルとの交渉に影響を与える可能性もある。

少し前、MetaもPerplexityの買収を目指して交渉を行っていたが、最終的には合意に至らず買収は実現しなかったという。MetaはAI分野における競争力の強化を急いでおり、PerplexityのCEOを自社のAI部門に引き抜こうとしたが、これも失敗に終わったとのことだ。アップル、Meta、サムスンの間で繰り広げられるAI技術をめぐる争奪戦は、今後さらに激しさを増していきそうだ。

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