キュー氏の発言後にGoogle親会社の株価は急落
アップル、AI中心に「Safariを再構築」検討。Googleに大打撃の可能性

アップルが自社のウェブブラウザ「Safari」を、AI搭載の検索エンジンを軸に再構築することを「積極的に検討中」であることが明らかになった。これは同社サービス部門の上級副社長、エディー・キュー氏が、米司法省によるGoogleへの独占禁止法訴訟の証言で明らかにした格好だ。
この訴訟は、アップルとGoogleの間で結ばれている年間約200億ドル(約2兆8700億円)と推定される契約が焦点となっている。この契約により、iPhoneなどアップル製品に標準搭載されるSafariのデフォルト検索エンジンとしてGoogleが採用されている。
キュー氏は証言で、Safariの検索数が2025年4月に初めて減少したことを明らかにし、その原因は「ユーザーがAIサービスに移行しているため」と説明した。さらにChatGPTやPerplexity、ClaudeといったAIサービスが、最終的にGoogleのような従来型検索エンジンに取って代わると信じていると語った。
そのため、アップルはAIサービスをSafariに選択肢として追加することを検討しており、すでにPerplexityと協議を行ったという。ただし、AIサービスは検索エンジンの「デフォルト」にはならず、従来の検索エンジンと並ぶ「選択肢リスト」に追加される予定だとされる。
この証言を受けて、Googleの親会社Alphabetの株価は7%以上下落し、時価総額で約1500億ドル以上が失われた。Googleはアップルに対し、年間200億ドルの「デフォルト検索エンジン代」に加え、Safari経由の広告収入の約36%も支払っていると推定されている。契約が破棄されればアップル側にも損失が生じると見込まれ、アップル株も1.1%下落した。
キュー氏は「技術の急激な変化」に触れ、「10年後にはiPhoneが必要なくなるかもしれない」とも発言している。「真の競争を生み出すのは技術革新だ。AIは新たな技術革新であり、新規参入者に機会をもたらしている」と強調した。
それでもキュー氏は、GoogleがSafariのデフォルト検索オプションとして残り続けるべきだと考えており、契約解消による収益喪失の不安から「眠れない夜を過ごした」と語った。現在の契約にはGoogle Lensのビジュアルインテリジェンス統合も含まれている。なお、iOS 19におけるGemini統合についての発言はなかったようだ。