A23チップがA14プロセスで作られる?

TSMC、1.4nmの次期最先端プロセス「A14」発表。iPhoneのA14チップと紛らわしい?

Image:Below the Sky/Shutterstock.com

世界最大手のファウンドリー(半導体受託製造)であるTSMCは、次世代のロジックプロセス技術「A14」を正式に発表した。これは、現在同社が展開する最先端プロセス「N2」の後継技術であり、AI処理のパフォーマンス向上を目的として設計されたという。開発は順調に進んでおり、2028年の量産開始が予定されている。

A14は、1.4nmクラスの製造技術であり、TSMCとしては初めて「2nm未満」のプロセスサイズを実現するものとなる。2nm世代に相当するN2と比較した場合、同一電力条件で最大15%の速度向上、または同一速度で最大30%の省電力が可能になるとのこと。加えて、ロジック密度も20%以上の向上が見込まれている。

TSMCは、iPhoneやMacに搭載されるAppleシリコン(Apple独自開発チップ)の製造を一手に担っている。A14の製造ラインが最初にどの企業へ割り当てられるかについては明言していないが、アップルとの密接な関係を踏まえると、将来のiPhone用チップに最優先で使われる可能性は極めて高い。

今回のA14という名称は、TSMCがプロセスノードの命名規則を、これまでの「N」プレフィックス(例:N7, N5, N2)から「A」プレフィックスに変更したことを意味している。興味深いことに、アップルも2020年に発売したiPhone 12シリーズにおいて「A14 Bionic」チップを投入しており、今後は例えば「A23」チップが「A14」プロセスで製造されるといった事態も考えられる。

なお、1997年頃までは、半導体チップにおける「○nm」といったプロセスノードの数値は、トランジスタのゲート長や金属配線の間隔などを比較的正確に表していた。しかしその後、トランジスタ構造の高度化や、各メーカーごとのアーキテクチャの違いにより、同じ「nm」でも実際の構造や面積効率は大きく異なるようになった。このため、現代ではプロセスノードの数値は主にマーケティング的な用語に過ぎないとされている。

現在、TSMCが保有する最先端プロセス技術「N2」は、2026年に登場が見込まれる「iPhone 18」シリーズに搭載予定の「A20」チップに用いられると報じられている。一方で、2025年秋に発売される「iPhone 17」シリーズに搭載される「A19」チップには、第3世代の3nmプロセス技術「N3P」が使われる見通しだ

なお、iPhone 18シリーズにおいては、2nmプロセスの恩恵を受ける代わりに、製造コストの大幅な上昇が予想されており、さらなる端末価格の値上げにつながる可能性も指摘されている

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