Apexリタイア組の需要を満たせる?
Ubisoft、『Apex Legends』にインスパイアされた新作ゲームを開発中?

ゲーム情報サイトのInsider Gamingが、最近あまり良いうわさが流れてこない名門ゲーム開発企業「Ubisoft」が開発中だという新作FPSバトルロイヤルゲームについて報じている。
伝えられるところによると、このゲームはプロジェクト名を『Scout』と言い、EA / Respawn EntertainmentのFPSバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』から多大な影響を受けて制作されているのだとか。
このプロジェクトにおけるApexから影響として、その開発初期にはサムネイルにApexのアートワークを使用するほどだったとされ、パスファインダー、レイス、ライフラインといったApexに登場するレジェンドたちに非常に似た、もしくはアレンジしたキャラクターが登場する模様だ。
Ubisoftの幹部らは、現在のApexがかつてほどの勢いを失いプレーヤー数が減少している一方で、多くのプレーヤーにとって代替となるバトルロイヤル方式のFPSゲームが登場していないことから、市場に新たなヒーローバトルロイヤルゲームが参入する余地があると考えているようだと、Insider Gamingへの情報提供者は述べているという。
ただInsider Gamingは、Ubisoft自身が最近実施したという社内調査で、Apex Legendsを含むさまざまなバトルロイヤルゲームの人気縮小、プレイヤー人口の減少を指摘し、「バトルロイヤルの次に来るものは何か」を模索していると疑問を提起していたことを指摘もしている。
Apexを運営するEAも、Apex人気の低下とともに、収益面でも成績が縮小していることは認識しており、CEOのアンドリュー・ウィルソン氏は今年2月の業績報告の場で、将来的に「Apex Legends 2.0」と称する大規模なアップデートを同作にリリースするために取り組む方針を示していた。
Ubisoftは、Apexが全盛期を迎えていた2020年頃に『Hyper Scape』と称するバトルロイヤルゲームをリリースしたことがある。このゲームは発表当初こそ著名なゲーム配信者らを起用したプロモーションで注目を集めたものの、宣伝キャンペーンが一段落するとすぐにプレーヤーも離れてしまい、発売から約18か月でサービスを終了してしまった。それ以来、Ubisoftは様々な理由から、いくつものバトルロイヤルゲームを社内開発段階でキャンセルしてきたと伝えられている。
また、現在のUbisoftの業績状況からは、この会社の将来そのものが不透明との意見も多い。すでに同社は中国Tencentと新子会社を設立し、『Assasin’s Creed』をはじめとするUbisoftの主要なフランチャイズのIPをこの子会社にライセンスすることを発表している。この発表はプレーヤー、開発者、投資家に同社の将来に対する不安と混乱をもたらしている。
さらに今月初め、Ubisoftの株価は12年ぶりの安値にまで下落し、米国の関税政策の発表などによる市場暴落時にはライバルのゲーム開発企業よりもさらに大幅な下落を示し、過去最高値に比べて1/10以下となる8ユーロ前後を記録した。
バトルロイヤル形式に限らず、FPSというゲームジャンル全体の人気が低下している今の時点で、新作ヒーローシューターを作ろうという判断は正しいのだろうか。Apexも近年は不正ツールや不正ソフトウェアを使うチーターの横行に抜本的対策がない一方で、スキンやその他コスメアイテムの販売にばかり注力するEAの運営方針に辟易したユーザーが流出するのを止められていないように思える。さらに、以前よりも短い周期で大幅なキャラクター調整やルール変更を投入するようになり、一度このゲームを離れたプレイヤーが復帰するのを困難にしていることも指摘されている。
うわさされるUbisoftの新作FPSバトルロイヤルゲームが、リリースされた時点で元Apexプレイヤーたちから絶大な支持を得られるようなら、もしかしたらある程度の成功を納められる可能性もあるのかもしれない。
- Source: Insirder Gaming