Xではなくマスク氏自身への罰金として
EU、Xへの罰金をマスク氏所有のSpaceXやNeuralink等にも支払わせる可能性
欧州連合(EU)は、X(旧Twitter)がSNS関連法への違反に課す罰金の算出を、オーナーのイーロン・マスク氏が所有する複数の企業の収益を基にすると警告したとBloombergが報じている。
事情に詳しい関係者によると、EU規制当局はXに加えてSpaceX、Neuralink、xAI、Boring Companyなど、マスク氏が所有する他の企業の収益も罰金のベースに含めるかどうか検討中とのことだ。
XはEUのデジタルサービス法(DSA)の複数の規定に違反した可能性があるとして調査されている。このDSAは大手プラットフォームに違法なコンテンツを含む投稿の削除を義務付けており、削除しない場合は罰金の支払いを求める。
昨年秋にも、Xがハマス・イスラエル紛争の偽情報を拡散しているとして、欧州委員会欧州域内市場担当のティエリー・ブルトン委員がマスク氏に書簡を送っていた。もしもDSAの規定に従わない場合、EUは企業に対して年間収益の最大6%の罰金を科すことができる。
EUの審議に詳しい関係者は、EUの委員会は基本的にX自体ではなく、マスク氏自身に罰金を科すべきかどうかを議論していると述べている。株式公開しているテスラはマスク氏の完全な管理下にはなく、対象から除外されるとのことだ。
罰金の対象を拡大すべしとの議論は、マスク氏が購入後にXの収益が激減したことと関連している可能性がある。マーケターのXへの信頼度は下落し続けており、3割近くが広告費の削減を検討しているとの調査結果もあった。またXの評価額は8月時点で94億ドルであり、マスク氏が買収に支払った440億ドルから約80%も下がっている。
欧州委員会の広報担当者は「DSAの義務は、プラットフォームや検索エンジンに決定的な影響力を行使する主体が自然人であるか法人であるかにかかわらず適用される」とコメント。つまり、マスク氏自身に対して罰金を科す可能性を否定していない。
事情通は、EUはXに罰金を科すかどうか未定であり、懸念を解決すれば罰金を回避できるかもしれないと語っている。だが、マスク氏がそう行動する可能性は低い。7月にもXにて、DSAの罰金に対して「法廷での明白に公的な戦い」を通じて戦うと宣言していた。