Snapdragon X EliteはGPU性能が弱点

MediaTekとNVIDIA、AI PC向けチップを共同開発?2025年後半にLenovoやASUS等が採用か

Image:NVIDIA

NVIDIAとMediatekが提携し、2025年後半には「AI PC」向けチップを大量生産し、大手OEMメーカーに採用される見通しだと著名リーカーが主張している。

中国SNSのWeiboを拠点とするリーカーの「手机晶片达人」氏は、MediaTekとNVIDIAがAI PCの3nm CPU開発で協力し、今月テープアウト(半導体設計の最終段階、設計から製造に移行する工程)の準備ができている」「来年後半に大量生産される予定で、NVIDIA GPUを使い、現時点ではLenovoやDell、HPおよびASUSが顧客になる予定」と述べている。

ちなみに手机晶片达人氏は、未発表iPhoneの仕様を正確に予想してきた実績がある。iPhone 7が防水仕様になること、iPhone 14シリーズでは先進的なA16チップがProモデル専用とされること等を、他の情報源に先がけて明らかにしていた。

ここ数か月、MediaTekがPC向けチップを開発中との噂が相次いでいた。6月にも、同社が「マイクロソフトのAIノートPC向けにArmベースチップを設計」しているとReuters報道があった。これまでクアルコムはArm Windows PC向けチップを独占供給してきたが、その契約が期限切れとなり、AMDなど競合他社が参入するとの観測は以前からあった

また、NVIDIAとMediaTekは自動車業界向けシステムでは協力しており、具体的にはNVIDIAのCPUおよびAI技術をMediaTekのSoCに統合し、次世代インフォテイメントシステムを提供すると表明している。今回の「MediaTek製チップにNVIDIAのGPUを組み込む」は、それをなぞる形である。

NVIDIAはグラフィック機能をチップに搭載することには経験豊富であり、かたやモバイル向けチップとして地歩を築いたMediaTekはPC業界に初参入することになる。

クアルコムのSnapdragon X EliteチップのCPU性能は申し分ないものの、GPU性能はやや期待外れ(クアルコムの公称値が高すぎた)と言われており、MediaTek+NVIDIAチップはその弱点を突くことになりそうだ。

またMediaTekはモバイル向け市場でも、クアルコムへの攻勢を強めつつある。次期Android用SoC「Dimensity 9400」はクアルコムの「Snapdragon 8 Gen 4」より20%安く、現Snapdragon 8 Gen 3と同等との報道もあった。もしも今回の噂話が本当であれば、まだまだ高価なAI PCも値下がりが期待できるかもしれない。

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