ただし100万回以上のインストールにはコア技術料を徴収

アップル、iOSアプリの「ウェブ配布」解禁を発表。EUで今春後半から

Image:nito/Shutterstock.com

アップルは先週、iOS 17.4でEU域内での代替アプリストア(純正App Store以外のサードパーティー製ストア)を解禁し、ストア開発者以外のアプリを提供することも可能とした。アプリ開発者にとっては、それだけ「どこでアプリを配布するか」の自由度が高まったことになる。

それに続き、アップルはEUにおけるiOSアプリ配布の選択肢を増やす方針を発表。「今春後半」から認定開発者らが、自らのウェブサイトでアプリを直接配布できるようになると告知している。

3月12日付けのプレスリリースで発表された、主な新方針は3つだ。

1つは、代替アプリストアで自社開発アプリのみのカタログを提供してもいいということ。たとえばゲームスタジオが、自社ゲームアプリだけ提供するiOS向けストアを作れることになる。マイクロソフトが構想しているという「Xboxモバイルストア」がこれに近そうだ。

また開発者は、ユーザーに外部サイトでの取引(支払)を完了するよう誘導する際、アプリ内のプロモーション、割引、お得な情報をどのようにデザインするかを選べるようになった。アップルが提供するデザインのテンプレートは、現時点ではオプションとなっている。

最も注目すべきは、認定された開発者が自らのWebサイト上でアプリを配布できる「Web Distribution」だろう。主な参加資格は次の通りである。

  • EU域内で設立、所在、または登録がある組織として、Apple Developer Programに参加していること
  • Apple Developer Programに2年以上継続して加入していること
  • 前年度にEU域内で100万回以上初回インストールされたiOSアプリを持っていること
  • 透明性のあるデータ収集ポリシーを公開し、データの収集方法と使用方法をユーザーが制御できるようにすること

この方法で配布されるアプリも、他のiOSアプリと同様にアップルの公証要件を満たす必要があり、App Store Connectに登録されたドメインからのみインストールできる。また認定された開発者は、ウェブからのアプリ配布、システム機能との統合、バックアップと復元等を助けるAPIにアクセスできるようになる。

開発者にとっては、アプリ配布の経路につき多彩な選択肢が与えられたことになることは確かだ。しかし、1年内に初回インストール100万回以上のアプリを持つ大手企業に限られる。それにウェブからの配布についても代替アプリストアと同じく、100万回以上の1件ごとに0.5ユーロ(約80円)のコア技術料が課される。

つまり、配布場所が代替アプリストアとウェブサイトを問わず、アップルが莫大な手数料を徴収する可能性があることは変わりがない。アプリ開発者からは歓迎が寄せられるよりも、むしろ批判の声が高まるかもしれない。

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