その切り札がアクティビジョン・ブリザードのタイトル

マイクロソフト、スマホ向けXboxアプリストアを2024年立ち上げか

Image:Diego Thomazini/Shutterstock.com

マイクロソフトXbox部門トップのフィル・スペンサーは、Xboxモバイルストアの立ち上げにつき提携企業と話し合っていると明かした。先週ブラジルで開催されたComic Con Experienceでのインタビューで述べたことだ。

スペンサー氏は具体的な開始時期につき明言を避けたが、「何年も先のことではなく、もっと早い次期だと考えている」と付け加えている。これまでの報道では、早ければ2024年にもローンチされる可能性が窺われていた。

Xboxモバイルストア構想は、すでに2020年秋から判明していた。今回スペンサー氏が新たなコメントを発したのは、マイクロソフトがアクティビジョン・ブリザード買収をようやく完了したことを受けてものだ。英競争市場庁(CMA)に提出した書類でも、アクティビジョンのコンテンツに大きく依存すると述べていた

またアクティビジョン自らも、独自のAndroidアプリストアを立ち上げる計画を他社に持ちかけていたことが、最近の裁判資料からも明らかになっていた

マイクロソフトは、アップルやGoogleがモバイルアプリストアを事実上支配している現状に不満を持ち、Epic GamesやSpotifyとともに「アプリの公平性のための連合(CAF)」を結成している

しかし、App StoreやGoogle Playストアからユーザーを引き離し、Xboxモバイルストアに定着させるのは容易ではない。そうした「習慣を大きく変える」ため、アクティビジョンの持つ『Call of Duty Mobile』や『キャンディークラッシュ』を活用する狙いは、CMAに提出した書類でも語られていた。

もともと2022年10月に届け出ていたことから、その時期にストア立ち上げを予定していたのだろう。だが、アクティビジョン買収が発表から長引いたため、延期せざるを得なくなったようだ。

さらにスペンサー氏は「Xboxが現在だけではなく、今後10年、20年にわたり存在感を示し続けるためには、多くのスクリーンを横断する強い存在でなければならない」と語っている。

これはクラウドゲームサービスXbox Cloud Gamingにより、スマートフォンやタブレット、スマートTV等にゲームを直接届けている延長上にある戦略だろう。ゆくゆくは「Xboxハード抜き」も考えているのかもしれない。

その一方で、アップルはEUのデジタル市場法による規制に備えてiPhoneとiPadで他社製アプリストアを許可する準備を進めていると噂される。実際に、iOS 17.2でそれを可能にするAPIが見つかったとの報告もあった

この件につき、アップルは6月のWWDCでは一言も触れていなかった。もし実現したとしてもEU限定で、日本や米国など他の地域では現状は変わらないとの予想もある(位置情報に基づいてiOSを機能制限できる隠しシステムも発見済み)。ともあれ、今後の推移を見守りたいところだ。

関連キーワード: