パッケージング技術を強化か
アップルのチップ専門家、サムスンが“やや異例”の引き抜き
アップルに9年間勤務したチップの専門家が退職し、ライバルのサムスン電子に採用されたと報じられている。
韓国メディアのBussiness Koreaによると、このKim Woo-pyeong氏はテキサス・インスツルメンツやクアルコムを経て、2014年からアップルに在籍していたという。同報道ではKim氏を「半導体の専門家」というに留めており、どのような職務に就いていたかは不明である。
Kim氏は、サムスンが新設したパッケージング・ソリューション・センターのディレクターに就任する予定とのこと。近年のサムスンは、独自開発チップではアップル、ファウンドリ(半導体受託製造)としては台湾TSMCとの競争が激化している一方で、先月にはTSMCに先行して3nmチップの生産を開始したと発表していた。
サムスンはファウンドリ事業に注力しているものの、TSMCになかなか追いつけないでいる。たとえばクアルコムのSnapdragon 8 Gen1はサムスンが製造を請け負っていたが、後継チップのSnapdragon 8+ Gen1はTSMC製造に移された。なぜかといえば、サムスンの歩留まり率が低いことに、クアルコムが嫌気が差したからとの噂もある。
かたやサムスンは独自開発のExynosチップ、アップルはiPhone用のAシリーズチップを投入するライバルではある。だが、その一方でサムスンはiPhone用の有機ELパネルを供給するなど協力関係にもあることから、Business Koreaは今回のアップルからの引き抜きを「やや異例である」と評している。
もっとも、アップルのチップ関係者が、競合他社に移籍することは珍しくはない。クアルコムはアップルのM2対抗チップを開発中と宣言していたが、その中核となるNuviaチームは、もともとAシリーズチップ(A7~A12X)開発を主導していた人物を中心とする集団である。
また、アップルがGoogleから獲得した機械学習のトップ人材が、リモートワーク方針をめぐって経営陣と対立し、Googleに里帰りした一件もあった。今回の移籍も、もしかすると些細な(?)ことがきっかけだったのかもしれない。
- Source: Business Korea
- via: MacRumors