傘下のAI研究開発企業に

リモートワークめぐり退職したアップル技術者、より柔軟な“古巣”のGoogleに復帰か

アップルの本社、通称Apple Park(Image:Daniel L. Lu)

今月初め、アップルの機械学習担当ディレクターであるイアン・グッドフェロー氏が職場復帰の方針に納得いかず、同社を退職したと伝えられていた。それから程なく、グッドフェロー氏がアップル入社前に勤務していたGoogleに復帰したとの噂が報じられている。

米Bloombergが関係者から聞いた話によると、グッドフェロー氏はGoogle(Alphabet)傘下のAI研究開発企業、DeepMindでの雇用に同意したそうだ。ただし、DeepMindはコメントを拒否しており、公式に認めたわけではない。

グッドフェロー氏がGoogle(関係の企業)で仕事をするのは、今回が初めてではない。2019年にアップルに入社する前、同氏はGoogleに6年以上も勤務し、機械学習と人工知能のプロジェクトを担当していた。そしてディープフェイクにも使われる「GAN」(敵対的生成ネットワーク/人工知能アルゴリズムの一種)の生みの親として知られるようになったのである。

アップルに3年勤務したグッドフェロー氏は退職にあたり、ほとんど在宅勤務を認めないアップルの方針について「もっと柔軟性があれば、私のチームにとって最高の方針になったと強く信じている」とチーム向けにメモを残したという。

かたやGoogleは先月から一部のチームに職場への復帰を義務づけつつも、多くの社員は今後も在宅勤務を続けることが許されていると報じられていた

アップルの「バック・トゥ・オフィス」(リモートワークから職場に戻らせる)方針に反対して人材が去ったことは、昨年末にも報じられていた。特にiCloudや健康、AIチームでの離職が増えているなかで、Health AI研究担当のエミリー・フォックス氏はスタンフォード大学に移籍し、元Netflixの副社長でクラウドインフラチームを率いたルスラン・メシェンベルク氏がGoogleに転職したことが注目を集めていた。

職場勤務へのこだわりについて、アップル上層部が「対面での協業こそ、我々の文化と将来に不可欠である」と述べているとも伝えられていた。しかし、同社がリモートワークに関して考えを変えない限り、今後も多くの人材が去り、より柔軟性のある競合他社に流出していきそうだ。

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