アップルの競合他社には2nmチップを渡さず?

TSMC、“2nmチップ”試作品をアップルに披露か。「iPhone 17 Pro」に搭載の可能性

Image:wakamatsu.h/Shutterstock.com

世界最大手の半導体ファウンドリ(受託製造企業)TSMCは、すでにアップルに次世代の2nmチップ試作品をデモしたと英Financial Timesが報じている。

アップルはTSMCにとって最大の顧客であり、最先端のチップ製造ラインも優先的に割り当てられるのが恒例だ。今年も第1世代3nmプロセス「N3」の受注可能量を、アップルがほぼ全て確保したと伝えられていた。その成果が、iPhone 15 ProモデルのA17 ProやMac向けのM3シリーズチップというわけだ。

今回の報道によれば、TSMCはアップルやNVIDIAを含む最大手の顧客数社に「N2」(2nm)試作品のプロセステスト結果を見せたという。またTSMCは取材に対して、N2技術の開発は「順調に進んでおり、2025年の量産に向けて軌道に乗っている」と回答している。

かたや台湾の電子業界情報誌DigiTimesは、アップルは2nmプロセス製造技術の開発・実装において、TSMCと緊密に連携していると報道している。同社は、サムスンやインテルと2nmチップの市場投入を競い合う上で重要なパートナーであり、両社の協力関係が衰える気配はないとのことだ。

2nmチップはトランジスタ密度や性能、電力効率すべての面で、現在の3nmチップを上回ることになるだろう。それは将来のAppleシリコン(iPhoneやMac向け独自開発チップ)や生成AI、次世代データセンターの競争力を左右するとも予想される。

またDigiTimesによれば、少なくとも2027年までは、アップルがTSMCへの3nmや2nmチップの発注量を減らす予定はないという。

つまり、あと3~4年はアップルが最先端チップをほぼ独占するということだろう。実際、クアルコムのスマホ向け最新チップ「Snapdragon 8 Gen 3」は前Gen 2と同じく4nm製造を余儀なくされ、そのため性能とともに消費電力まで増えているとの報告もあった

TSMCのいう2025年とは、アップル的には「iPhone 17 Pro」を発売する年となる。半導体製造も手がけるサムスン電子は、自社Galaxyスマホの性能をiPhoneに引き離されないためにも、2nmプロセス技術の開発に力を注ぐことになりそうだ。

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