決済プラットフォームには信頼性が必要なはず

元TwitterのX、外部リンク読み込みを意図的に遅くしていた可能性

Image:Omar ElDeraa/Shutterstock.com

元TwitterことX上で共有した競合他社やニュースサイトへのリンクが、読み込みに時間がかかる状態が1週間以上も続いたと複数のメディアが報じている。記事執筆時点では、この問題は解消されたようだ。

The Washington Post(以下WP)の分析によると、Xに投稿されたTimes、Reuters、Facebook、Instagram、Bluesky、Substackへのリンクが読み込みに約5秒もかかったという。

またHacker Newsへの投稿によると、まず8月4日に「NYtimes.com」(New York Times/以下「NYT」)や「threads.net」(MetaのThreads)で起こっていたとのこと。より厳密には短縮リンク(t.co)絡みのようで、本来のアドレスに転送するまでに時間を要したようだ。

影響を受けたサイトには、Xと競合するSNS(Threads、Bluesky、Substack)や、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏を批判している報道機関も含まれており、遅延が意図的に行われた可能性もある。WPによると、自紙やMastodon、YouTubeやFox Newsへのリンクはすぐに読み込めたという。

Xの前信頼・安全部門責任者Yoel Roth氏は、この問題につきBlueskyで論じている。実際のトラフィックと遅延を可視化した上で「たとえTwitterであれ、Chromeが650バイトのデータを受信するのに5秒もかかるのは、あまりにクレイジーな事態に思える」とのことだ。

これらのリンクにXが意図的に遅延(短縮リンクから正規URLへの復元を遅らせる)を掛けていたとしても、特に意外なことではない。

たとえば有料ニュースレターサービスのSubstackがTwitterによく似たNotes機能を発表した直後、いいねやRT、リンクを遮断したことがあった。また昨年末には、InstagramやMastodonのような競合SNSへのリンクを禁止するルールを突然打ち出したが、数時間後に撤回した例もある。

今回の遅延につき、影響を受けたサービスやウェブサイトの一部は声明を出している。Substackは「ユーザーに敵対的な変更を加えることを厭わないと証明された信頼性の低いプラットフォームに依存していては、作家は持続可能なビジネスを構築できない」と批判。

またNYTは「この動きにつき、プラットフォーム(X)から説明は受けていない」「この遅延が適用される根拠はわからないが、不明確な理由のために報道機関に的を絞った圧力が加えられることを懸念している」とのことだ。

今回、読み込み遅延に深く関わる短縮リンクは、ユーザーが自発的に持ち込んだわけではなく、Xがシステム的に強制しているものだ。それが意図して競合サービスへの妨害に使われたとすれば、マスク氏がめざす決済ビデオ通話プラットフォームの前提にあるべき信頼性が損なわれそうだ。

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