Twitterのデータを独占使用?
イーロン・マスク、人工知能専門会社「xAI」設立を発表。目的は「宇宙の真の姿を理解」
実業家のイーロン・マスク氏が、人工知能専門の新会社「xAI」を設立したことを発表した。すでに米ネバダ州にて書類が提出され、3月9日に法人化されていたが、公式サイトが開設されて設立が宣言された格好だ。
公式サイトによれば、xAI社の目標は「宇宙の真の姿を理解すること」だそうだ。マスク氏も、同社の設立目的が「現実を理解すること」とツイートしているが、それ以上の詳細や説明は提供されていない。
xAIのチームはマスク氏が率い、DeepMindやOpenAI、Google Research、Microsoft Researchなど、他のAI大手企業で働いていたスタッフが集結しているという。
公式サイトに名前が挙げられている中では、例えばイゴール・バブーシキン氏は最近DeepMindを離職した研究者であり、新会社に初採用された人物との報道もあった。またアドバイザーを務めるというダン・ヘンドリクス氏はAI安全センターの事務局長であり、最近ではAIが人類を滅亡させるリスクが「核戦争等と同列」として警鐘を鳴らしていた。
xAIチームは7月14日にTwitter Spacesでディスカッションを行う予定で、その場でリスナーは「チームに会い、質問できる」と予告しているが、具体的な時間は不明である。
またマスク氏が所有するX社(Twitter社)との関係は「別の会社」としつつ、「テスラ社やその他の企業と密接に協力する」とのことだ。
最近マスク氏はTwitterの閲覧に一時的ながら厳しい制限を課し、その原因とされるデータスクレイピングは「スタートアップから地球上の一部の最大手企業に至るまで、AIに取り組むほぼすべての企業が膨大な量のデータを収集していた」と非難していた。裏返せば、xAI社はTwitterのデータを積極的に、ひいては独占的に活用していくのかもしれない。
マスク氏は以前にも、AI企業に深く関わったことがある。今や時代の寵児となったOpenAIも、元はといえばマスク氏が共同創設者の1人である。しかし、後に表向きはテスラとの「利益相反」のために取締役を退任。その本当の理由は、マスク氏がOpenAI買収を提案したところ、サム・アルトマンCEOらに拒否されたからという報道があった。
それ以降、マスク氏は非営利団体として始まったOpenAIが利益を追求していると批判。さらにマイクロソフトが広告プラットフォームからTwitterを外した際に、同社とAIチャットボットで密に協力しながらも本件には無関係なOpenAIの話を持ち出し、訴訟を示唆したこともあった。
またマスク氏は、AI開発競争に6か月の停止を求める公開書簡にも署名している。その一方で最大限の真実を追究する対話型AI「TruthGPT」を開発するとも述べていたが、これらの発言にどう整合性を持たせるのかを見守りたいところだ。