熱性能の向上と歩留まり改善のメリット
アップル、M5 ProとM5 Maxは同一設計の可能性

アップルの次期Mac向けハイエンドチップ「M5 Pro」および「M5 Max」は、2つの設計が異なるチップではなく、同一チップのバリエーションである可能性が浮上している。
発端は2024年末、アップルがM5チップの上位バージョンにおいて、まったく新しいチップパッケージング技術を採用すると報じられたことだ。著名アナリストのMing-Chi Kuo氏は、M5 Pro、M5 Max、M5 Ultraが「サーバーグレードのSoICパッケージ」を採用し、CPUとGPUを別々の設計にすると指摘していた。
より具体的には、SoIC-mH(モールディング・ホリゾンタル)と呼ばれる2.5Dパッケージングを使用し、CPUとGPUを分離設計にするというものだ。これにより、歩留まりの向上と熱性能の強化が期待されている。
従来のMシリーズチップは、1つの半導体チップ上にCPUとGPUを集積するSoC設計を採用していた。これをCPUとGPUの分離構造にすることで、発熱源を分散できるうえ、CPUとGPUを別々の小型ダイとして製造可能となる。その結果、CPUとGPUを一体化した大型ダイに比べて不良率を抑えやすくなり、どちらか一方に欠陥が生じただけでチップ全体を廃棄する必要もなくなる。
こうした設計は、ユーザーが購入時により柔軟な構成を選択できる可能性も示唆している。たとえば動画処理などグラフィック性能への依存度が高い用途では、CPU構成を抑えつつGPUコア数を最大化するといった選択が現実味を帯びてくる。
この見方に説得力を与えたのが、最近アップルの公式オンラインストアで行われた購入フローの変更である。
一方で、最新のiOS 26.3 RC(リリース候補)ベータ版には、M5 Max(H17C/T6051)とM5 Ultra(H17D/T6052)の識別子が確認されたものの、M5 Pro(H17S/T6050)は見当たらなかったと報じられている。
この点について、技術系YouTuberのVadim Yuryev氏は、2.5Dチップ技術によりM5 ProとM5 Maxを同一設計にできる可能性を指摘している。すなわち、一部コアを無効化したGPU構成をPro版として提供する形で、同一チップを使い分ける可能性があるというわけだ。分離ダイ構造により、CPUやGPU単位でのビニング(コアの一部を無効化して下位モデルに転用)が容易になるとみられている。
この方式を採用すれば、アップルはSKU(最小在庫管理単位)や設計に関するコストを大幅に削減できる可能性がある。論理的にはMaxの設計1種類で済み、Proは「MaxのGPUコアを一部無効化したバリエーション」に過ぎなくなるため、設計・製造の効率化が進むことになる。
こうした分析や予測が事実であれば、ユーザーにとってはMacの構成自由度が高まり、アップルにとっては製造や開発にかかるコストを抑えられる利点が生まれる。結果として、今後数年続くとみられるRAM(メモリ)価格の高騰を、多少なりとも相殺できる可能性も期待されるところだ。
- Source: Vadim Yuryev(X)
- via: 9to5Mac
