OpenAIは自社AIハードウェア優先

アップル、Google Geminiに数十億ドル支払いか。OpenAIは提携拒否?

多根清史

Image:vfhnb12/Shutterstock.com

アップルは、GoogleのGemini AIモデルを新たなSiriの基盤として活用することを発表した。具体的な契約条件は公表されていないものの、数年契約で数十億ドル規模の支払いが発生するとみられている。また、ChatGPTの提供元であるOpenAIが、アップルとの提携を意図的に避けたとも報じられている。

Googleは、このパートナーシップが「複数年にわたる協業」であると説明している。一方アップルは、Geminiモデルを自社のプライベートクラウドサーバー上で稼働させ、プライバシー保護を継続すると明言した。ユーザーデータはGoogleの外部サーバーに渡されず、広義のアップル製エコシステム内にとどまり続ける形となる。

英Financial Timesは、さらに踏み込んだ内部情報を伝えている。それによると、この契約はクラウドコンピューティング契約の形を取り、規模は「数十億ドル」に及ぶという。アップルは、Googleに対して数年にわたり毎年数億ドルを支払う可能性があるとされている。

この内容は、年間およそ10億ドル前後とするBloombergの報道とも整合的である。仮にこれが事実であれば、アップルがGoogleから「デフォルト検索エンジン」の対価として最大で年間200億ドル規模を受け取っているとされる現状を踏まえると、同社にとっては比較的割の良い取引だと見なすこともできる。

さらに注目すべき点は、OpenAIがアップル向けにカスタムAIモデルを提供することを「意識的な決定」として見送ったと報じられている点である。関係者によれば、その代わりに、アップル製品を上回ることを目指した自社AIデバイスの開発に注力する道を選んだという。

アップルとOpenAIの間で、少なくとも協議が行われたことはほぼ確実とみられるが、アップルが正式な契約オファーを提示したかどうかは明らかになっていない。

OpenAIは企業向けにカスタムAIモデルを提供しているものの、それらは同社自身が最適化・ホスティングを行い、クライアント側に完全な制御を委ねない形を取っている。一方で、アップルはGeminiについて自社でカスタマイズしていると報じられており、この点で条件が折り合わなかった可能性がある。また、アップルの厳格なプライバシー制約により学習用データが制限されることも、OpenAIにとっては魅力に乏しい要因だったと推測される。

ここで言及されているAIデバイスとは、元アップルのデザイン責任者であるジョニー・アイブが設計した、いまだ詳細が明かされていないハードウェアである。この製品はペン型になると噂されており、2026〜2027年頃の発売が取り沙汰されている。

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