2大ゲームエンジンの両社が提携する驚き

Unityゲームが『フォートナイト』にやって来る。Epicとの提携を発表

多根清史

Image:Tinxi/Shutterstock.com

Unity TechnologiesとEpic Gamesという最大手ゲームエンジンを擁する両社は、2026年からUnity製ゲームをEpicの人気タイトル『フォートナイト』内で公開できるようにするパートナーシップを発表した。これによりUnity開発者は、『フォートナイト』のエコシステム(5億以上の登録アカウント)内でゲームを公開し、収益を得ることが可能になる。

Epicは2018年から、クリエイターが自作の「島」を作成・公開することを許可している。2024年には新規公開数が前年比で倍の約19万8000件に達しており、今回の提携によってゲーム内体験がさらに拡大し、既存開発者にとっても自由度がいっそう高まる可能性がある。

つまり今後は、『フォートナイト』のクリエイティブモードの枠を超えて、Unityで開発されたより複雑で多彩なゲーム体験が「島」の中で、ひいては『フォートナイト』という巨大プラットフォーム上で楽しめるようになるわけだ。

Epicのティム・スウィーニーCEOは声明で「ウェブの初期と同じように、オープンで相互運用可能なメタバースの構築には企業の協力が不可欠だと信じている」と述べた。「Unityとの協力によって、開発者が楽しいゲームを作り、より大きなユーザー層にリーチし、新たな機会を開拓できるよう支援していく」と語っている。

スウィーニー氏はUnityのマシュー・ブロムバーグ氏とともに、Unityの年次開発者会議でこの提携を発表した。開発者は来年のどこかの時点で、Unity製ゲームを『フォートナイト』上に公開できるようになる見通しで、両社は今後さらに詳細と正確な時期を明らかにするとしている。

加えて、Unityが10月に開始したクロスプラットフォームの収益管理ダッシュボードは、2026年初頭からUnreal Engineにも対応し、ゲーム価格設定やプロモーションを一元管理できるようになる見通しだ。これにより、両エンジン間で技術と商取引基盤の相互利用が促進されるとみられる。

かつてUnityは「ゲームのインストールごとに月額ライセンス料が増加する」という方針で開発者コミュニティから反発を招いたが、その背景には経営不振があった。その後、収益安定化を目的とした事業整理や人員削減が進められ、2025年前半には売上やキャッシュフローの改善が見え始めている。今回のEpicとの提携は、Unityの経営立て直しが本格化する転機となるかもしれない。

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