マイクラの「Doom化」?

スマート電球でMinecraftサーバー構築、極小ワールドを容量90KBで実行

Munenori Taniguchi

Image:Mojang

ハードウェアハッキング動画を公開しているYouTubeチャンネルvimpoは、スマートLED電球にMinecraft(マインクラフト)のサーバーを構築して動作させることに成功した。

スマートLED電球はその名前のとおり照明としての機能しか持たないが、外部(USB)からの入力を受け付けてLEDを点灯したり消灯したり、調光したりする機能のために、プロセッサーやストレージ、RAMを搭載している。

今回使用された電球には、基板上にRISC-VベースのシングルコアプロセッサーであるBL602(192MHz駆動)が搭載されている。vimpoはこれを取り出して、USBシリアル変換ボードを半田付けしてモニターやキーボードなどの周辺機器の接続を可能にした。

これで一応は人が操作できるコンピューターの体をなしたわけだが、Minecraftのサーバーを動作させるためにはその基本となるシステムが必要となる。

vimpoは、ここに非常にコンパクトなMinecraftサーバー実装システムであるUcraftを導入することにした。Ucraftは、認証の仕組み付きで約90KB、認証不要なら約46KBしかストレージを消費しない。そのため、今回のスマート電球のチップでもMinecraftサーバーが実行できるというわけだ。

ただし、Ucraftを使ったこのスマート電球Minecraftサーバーは、コンパクトさのためにかなりの割合のサーバー機能が使えない。vimpoは、「本来あるサーバー機能のほとんど、あるいはすべてを備えていない」ことを認めた。つまり、プレイヤーはこのサーバーのワールドに入れるものの、できることはほとんどないかもしれないということだ。

さらに、メモリーの都合上、プレイヤー数にも厳しい制限が加わる。Tom’s Hardwareが伝えるところでは、10人ほども入ればそのメモリー消費は認証ありで約70KB、認証なしで約20KBにもなり、スマート電球システムの容量いっぱいになってしまうとのことだ。

とはいえ、スマートLED電球でマインクラフトサーバーが最低限ながら動くという事実には驚くほかない。

最近のハッカー界隈では、Minecraftはある意味『Doom』化しはじめているようで、奇抜なハードウェアやソフトウェア上でこのゲームを動かすプロジェクトが盛んになりつつある。たとえば数か月前には、Windows 2000 / XP時代の、VRAMが8MBしかない3D Phantom XP2800グラフィックカード(SiS 305チップ搭載)でマインクラフトを動かしたり、COBOL言語から派生したGnuCOBOLでMinecraftサーバーを実装するトンデモな試みが行われている。

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