またチップ名が紛らわしいことに
Snapdragon 8 Elite Gen 6、StandardとProの2種類に? GPUとメモリ仕様で差別化か

アップルはiPhone 15シリーズ以降、標準モデルと高価なProモデルを「標準チップ」と高性能な「Proチップ」で差別化している。これに倣うように、クアルコムも次期Android向けチップセット「Snapdragon 8 Elite Gen 6」を、通常版とPro版の2種類で展開する可能性があると報じられている。
中国の著名リーカー「数码闲聊站(Digital Chat Station)」によれば、次世代のフラグシップチップには「Standard」と「Pro」という2つのバージョンが存在するという。
どちらのチップもTSMCのN2P(初代2nmプロセス「N2」を改良したもの)によって製造され、第3世代の自社開発アーキテクチャを採用する。CPU構成は2+3+3の8コア構成で共通しているとされる。
同氏はチップの名称やメーカーを明言していないが、これまでクアルコム製チップに関する正確な情報を数多く提供してきた実績がある。また、CPUが自社設計の第3世代アーキテクチャであることから、現行のSnapdragon 8 Elite Gen 5の後継モデル「Snapdragon 8 Elite Gen 6」である可能性が高いとみられている。
参考までに、Snapdragon 8 Elite Gen 5は第3世代Oryonコアを採用し、超高性能コア2基と高性能コア6基を組み合わせた構成である。次期Gen 6も第3世代設計を継承しつつ、製造プロセスを改良し、コア構成を微調整(最後の3コアは省電力型となる見込み)する可能性が高い。
数码闲聊站によると、Standard版とPro版の主な違いはGPU性能とメモリ仕様にあるという。Pro版のみがLPDDR6メモリをサポートし、より高性能なGPUを搭載する予定だ。フルスペック版では消費電力・性能・発熱(PPT)の指標が非常に高いとされている。

Snapdragon 8 Elite Gen 5はLPDDR5Xメモリに対応しており、転送速度は最大8.533〜9.6Gbps、帯域幅は最大68.3GB/sである。これに対してLPDDR6は最大14.4Gbps、帯域幅最大140.8GB/sに達し、同等性能で45〜60%の省電力化を実現できるといわれている。
同氏は以前から、Snapdragon 8 Elite Gen 6がTSMCのN2Pプロセスで製造され、LPDDR6に対応すると伝えていた。今回の新情報では、2つのバージョンが用意され、そのうちStandard版ではGPU性能とメモリ仕様が制限されるとされている。
クアルコムのハイエンド向けチップは、世代や名称が複雑で混乱しやすい。たとえば同社は「Snapdragon 8 Gen 2」の後継を「Snapdragon 8 Elite Gen 4」として発表した(8 Gen 3と予想されていた)が、今回の噂が正しければ、次はさらにStandard版とPro版に分かれることになる。性能を重視するユーザーは、今後チップの名称にも注意を払う必要がありそうだ。
