マスク氏の伝記本が決め手の一つに
イーロン・マスク氏、元Twitter幹部との1億2800万ドル退職金訴訟で和解

イーロン・マスク氏とX(旧Twitter)は、元Twitter幹部4人が起こしていた約1億2800万ドルの未払い退職金訴訟で和解に達した。米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提出された書類によると、この和解は特定の条件が満たされることを前提としており、そのため訴訟の期限は一時的に延期されている。
この訴訟は2024年、元CEOのパラグ・アグラワル氏らによって提起されたものだ。2022年にマスク氏がTwitterを買収した直後、幹部陣が解雇された際に、約束されていた1年分の給与や数十万株に及ぶストックオプションが支払われなかったことが争点となっていた。
原告側の主張は、ウォルター・アイザックソン氏による伝記『Elon Musk』に記された内容によって裏付けられている。アイザックソン氏は執筆にあたり、約2年間にわたりマスク氏に密着取材しており、その中でマスク氏が買収を急ぎ、経費削減のために退職金の支払いを回避しようとしたことが描かれている。
訴状によれば、マスク氏は「Twitter幹部や取締役を死ぬまで1人ずつ追い詰めてやる」と発言したほか、退職金を節約するため、ストックオプションが確定する前日に元幹部を解雇したとされる。元幹部らは、これらの行為を「わがままな億万長者による復讐」と批判している。
また、この訴訟とは別に、買収後に解雇された約6000人の一般従業員が総額5億ドルの退職金支払いを求める訴訟も提起しており、こちらは2025年8月に暫定的な和解が成立している。そのほか、オフィス賃料の未払いなど、X社は複数の法的トラブルにも直面していた。
今回の幹部訴訟が和解に至ったことで、旧Twitterを巡る一連の騒動には一応の区切りがついたといえる。ただし、もし和解条件が履行されない場合は、10月31日に訴訟が再開される可能性も残されている。
- Source: U.S. District Court Document
- via: The Verge