SiriやCarPlayで懲りて「数か月先の新機能発表を減らす」模様

WWDC 2025でSiriは脇役? Apple Intelligenceブランドとも切り離す方針か

多根清史

Image:Rokas Tenys/Shutterstock.com

アップルは6月に迫るWWDC 2025にて、Siriに関する言及を最小限に抑え、代わりに他のApple Intelligence機能の強化に焦点を当てる予定だとBloombergが報じている。

同誌の記者であるMark Gurman氏とDrake Bennett氏によると、アップルは既存のApple Intelligence機能の改善と、AIを活用したバッテリー管理モードや仮想ヘルスコーチ等の新機能の追加に注力するという。また、iOS 19ではSiriのChatGPT代替としてGoogle Geminiが追加される予定とのことだ。

これらは、直近の数々の噂を再確認するものである。以前Gurman氏は、アップルがAIとApple Watchのデータを活用する「AIベースのコーチングサービス」や、AI制御によりバッテリー駆動時間を改善する機能が準備中であると報じていた。またiOS 19へのGemini統合は、GoogleのピチャイCEO自らが示唆している

今回の報道では、昨年発表された個人コンテキスト理解や複雑な多段階アクションを実行する能力など、Siriのアップグレードについては「ほとんど議論されない可能性が高い」とされている。これらの機能はまだリリースまで「数か月」かかる見込みとのことだ。

さらにアップルは、Siriのネガティブなユーザー体験がApple Intelligence全体に対する評価を損なうとの懸念から、マーケティングにおいて「Apple IntelligenceブランドをSiriから分離する」計画も進めていると報じられている。

既存のApple Intelligence機能を改善するため、現在、ユーザーのiPhoneは合成データの向上を支援しているという。人工的なデータセットは、実際のユーザー情報を取り込むことなく、AIトレーニングのための現実世界の参照ポイント(AIが現実の状況や事象を正確に理解・表現するために必要となる基準点)を提供するため、ユーザーのiPhoneから集めた言語データと比較して評価・強化されているとのことだ。

同様に、テキサス、スペイン、アイルランドでは、数千人のアナリストがApple Intelligenceの要約の正確性を元の資料と比較して確認しているとのこと。アップルはシステムが歪んだり不正確な回答を生成する頻度を把握したいと考えているとされる。

ほか、今後アップルは発表から数か月以上先の機能発表を大幅に減らすと付け加えられている。これはSiriの新機能が1年以上も遅れたことや、2022年に発表した次世代CarPlayが当初約束していた2024年の提供時期を守れず、今月からようやく「CarPlay Ultra」として高級アストンマーティン車に搭載されるに至った、という3年近くの遅延を受けてのようだ。

アップルのWWDC 2025基調講演は日本時間で6月10日午前2時に開催され、iOS 19、macOS 16などの主要なソフトウェアアップデートと新機能がプレビューされる予定である。

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