トランプ関税によりiPhoneが全世界で値上げの可能性も

アップル株、関税一時停止で急回復。ただし中国への125%関税が不安材料

Image:Below the Sky/Shutterstock.com

米トランプ大統領は日本時間の深夜、多くの国々に対する相互関税を90日間停止することを発表した。これを受けて米国の株式市場は大きく反応し、アップルの株価も急落から一転して回復している。

この発表は、トランプ大統領が自らのSNS「Truth Social」で明らかにしたものだ。報復関税を導入していない国々では直ちに関税が保留となり、日本に対する24%の関税もしばらくは10%に据え置かれることになる。インドやベトナム、台湾など、アップルのサプライヤーが事業を展開する諸国も同様の税率が適用される。

ただし、報復関税を講じた中国については「世界市場に対して示した敬意に欠ける態度」に基づくとして、関税を125%に引き上げ、即時発効するという。

関税一時停止の発表直後、アップルの株価は約15%上昇した。前々日は約3.7%、前日はさらに約5%下落したことから大きな反発だが、トランプ大統領の関税に関する発言が二転三転しているため、市場は不安定であり、さらに下落する可能性もある。

中国に対する関税は依然としてアップルに影響を与えるが、その他の国からの輸入品に対しては時間的な猶予が与えられることになる。すでに諸国の製造拠点から関税前にiPhoneを緊急空輸したとみられているが、さらに米国内での在庫の積み増しが急がれそうだ。

アップルが製品のサプライチェーンを中国に依存していることは広く知られている。長年にわたりインドやベトナムなどに製造拠点を多様化する努力は続けられているが、iPhoneなど主力製品のほとんどは依然として中国で製造されている。

トランプ政権による関税は米国への輸入に課されるもので、他の国におけるアップル製品に直接には関係しない。しかし、中国への125%関税が長引き、90日後に他の国に対する相互関税が復活すれば、米国内でのiPhone販売価格には上昇圧力が強まるだろう。それは販売に大きな影響を与える可能性が高いため、全世界的に3〜6%値上げし、米国での追加コストをカバーするとの予想もある

関連キーワード: