生成されるゲームはまだ完全にプレイできません

マイクロソフト、AIで『Quake II』生成。コントローラー入力を反映しプレイ可能

Image:Microsoft Research

マイクロソフトは、AIで往年の3Dシューティングゲーム『Quake II』を再現するプレイアブルデモを公開した。これは、マイクロソフトのゲーム開発向けAIモデル「Muse」のなかの、ゲーム環境を生成する新たなAIモデル「WHAMM」に関する技術的なデモンストレーションだ。

あくまで、AIで特定のゲームに見える映像を生成しているだけなので、本物のQuake IIそのまんま、とまでは言えないものの、誰でもブラウザー上でこのデモを一定時間試し、どのように動作するかを体験可能になっている。

WHAMM技術については、Microsoft Researchのブログページで簡単に解説されているが、さらに簡単に言えば、マイクロソフトはQuake IIの特定のレベルデータをAIに強化学習させ、シミュレートされたレベルのなかでプレイヤーとして歩き回り、プレイヤーの視点移動や、ジャンプ、射撃その他のアクションも3D世界に反映するようにした。オリジナルゲームと同様に3Dマップ上に配置された火薬樽を撃てば、爆発を起こすことも可能だ。

一方で、現在のAIモデルでは生成物に関するコンテキスト(脈絡・前後関係)が0.9秒間しか保持されない。そのため、ゲームの視界から出て0.9秒以上経過しまったオブジェクトは、0.9秒以上経過後に再びそこを見ても描画されない可能性がある。

Image:Microsoft Research

たとえば、敵のクリーチャーが目前まで迫ってきた場合、一時的に(0.9秒以上)敵を視界の外に出してしまえば、次に敵の方向を見たときには、もうそこには何もいないといった現象が発生しうる。逆に、敵を倒してすぐ視線を外し、再び元の方向を見れば、倒したはずの敵がまた現れて迫ってくる可能性もある。

さらにマイクロソフトは「空を見上げて再び下を見下ろすことで、マップ内をテレポートすることもできる」と述べている。

Microsoft is the real offender here, but anyone who writes even a news post about the copilot "AI" Quake 'tech demo' without describing how it actually functions (or fails to) it is is doing unpaid PR work.

austin_walker (@austinwalker.bsky.social) 2025-04-05T23:18:23.891Z

Microsoft Researchは、このデモはWHAMMに関するResearch exploration(研究課題に関する調査)、具体的には「リアルタイムで生成されるゲームプレイ エクスペリエンスの初期の調査」であり、「ゲームをプレイする」ことよりも、「AIモデルを使ったプレイ」に関するものだとブログ記事で述べた。そして「このようなモデルによってどのような新しい種類のインタラクティブ メディアが可能になるかを探ることに興奮している」とした。

また、プレイできるレベルがひとつしかない理由については、別に人々から楽しみを奪おうとしているのではなく「将来このAIモデルを改善できる領域に注目して、新しい種類のインタラクティブな体験を実現し、ゲーム開発者が伝えたいストーリーを実現するため」だと、述べている。

関連キーワード: