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宇宙めがけ衛星をぶん投げる「SpinLaunch」、1度に数百基の衛星打ち上げを計画。2026年を予定

Image:SpinLaunch

巨大なカタツムリの殻のような、遠心式打ち上げシステムを開発する「SpinLaunch」が、小型人工衛星企業Kongsberg NanoAvionicsとの間で衛星コンステレーションの製造契約を結んだことを発表した。

Meridian Spaceと呼ばれる契約額1億3600万ドルの計画には、Kongsberg NanoAvionicsの親会社であるKongsberg Defence and Aerospaceからの1200万ドルの投資も含まれ、最初の軌道上実証機の打ち上げは2026年を予定する。

製造する衛星は、5G非地上ネットワーク(NTN)プロトコルに対応し、「軍事グレード」のセキュリティ、ネットワーク拡張能力を備える。最初の280基の衛星セットは、少なくとも毎秒2Tbpsの帯域を提供し、さらに衛星を追加する能力を持つという。現在、Ka、Ku、Vバンド周波数で動作する約1200基の衛星展開の認可を米連邦通信委員会(FCC)に申請中だ。

Image:SpinLaunch

なお、発表時点では、衛星群の製造はSpinLaunchが行うものの、それを遠心式打ち上げシステムを使って打ち上げるのか、オーソドックスに他社のロケットで打ち上げるのかは明らかにされていない。ただし公開された動画を見る限り、SpinLaunchは280基(ウェブサイトでは250基と記されている)の衛星を一度に軌道に乗せることを考えているようだ。もしそれが成功すれば、一度の打ち上げにおける衛星軌道投入の最多記録を更新することになる。現在の記録はSpaceXが2021年に達成した143基だ。

SpinLaunchの遠心式打ち上げシステムは、内部に33メートルの回転アームを持ち、これに固定したロケットを回転させて極超音速(マッハ5以上)にまで加速、適切にリリースしてロケットを打ち上げる。この方式によって、従来のロケットシステムでは最も燃料消費の激しい第1段目ブースターの役割を置き換えることを目標としている。また、このシステムは直接打ち上げ可能な人工衛星についても想定している。

ちなみに、SpinLaunchはMeridian Spaceや遠心式打ち上げシステムとは別に、近年のブロードバンド向け衛星コンステレーション需用の高まりを睨み、自社の技術による小型衛星製造でシェア獲得を目指している。

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