大学生に親しまれることが将来に繋がる
OpenAIとAnthropic、高等教育分野へのサポート強化で火花。市場開拓とユーザー囲い込み狙う

AI企業としてともに高い存在感を示しているOpenAIとAnthripicは、高等教育分野を手厚くサポートするサービスの提供を相次いで発表した。将来社会で活躍する大学生を自社製品ユーザーとして獲得し、市場を成長させようとする取り組みの一環と言うことができる。
Anthropicは水曜日に、同社のAIチャットボット「Claude」の大学生向けバージョンとなる「Claude for Education」を発表した。このバージョンには、質問に対する回答をただ提供するのではなく、学生に自ら考える余地を残すように設計された「ラーニングモード」が含まれている。
また、Anthropicは米ノースイースタン大学、英LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)、米バーモント州のシャンプレイン・カレッジなどと包括的なアクセス契約を結んだ。特にノースイースタン大学との提携では、世界13か所のキャンパスに通う約5万人の学生、教員、スタッフがClaudeを利用できるようになる。さらに、学生にAnthropicのチームが協力するアンバサダープログラムも行うと発表した。

対するOpenAIは、学生支援のためにChatGPTの音声モード、画像生成機能、同社のDeep Researchツールを学術研究論文に使用できるようにすることを明らかにしている。OpenAIの主張によれば、米国の大学生の1/3以上がChatGPTを使用しており、ChatGPTに問い合わせられる内容の1/4ほどは、学習や学校の勉強に関するものだという。
OpenAIは昨年5月から、大学が学生に「責任を持ってAIを導入」できるよう構築した「ChatGPT Edu」を提供しており、今回Anthripocが発表したClaude for Educationを迎え撃つ形になる。
OpenAIは最も有名でかつ強力と思われるChatGPTへの無制限のアクセスを提供し、高度な機能を自由にさせることで、学生がより多くのことを達成できるようにする生産性向上ツールとしてこれに馴染み、同社への忠誠心を強化できると考えている。
Anthropicが、Claude for Educationを学生のスキルを育成する学習パートナーとして位置付け、学生に自分で考える余地を残していることを考えると、OpenAIのアプローチはまったく方向性が異なっている。
ChatGPTが世に出た当初は、多くの教育機関がこのツールの使用を禁止する措置を講じたが、それは学生が課題などの回答をAIに書かせるような使い方をさせないためという側面があった。しかし現在では、学生に対しAIの使用を許可するかどうかではなく、如何にして有意義な形で教育に取り入れるかという議論が交わされている。
AIシステムが人間のような推論と文章を模倣する能力を向上させるにつれて、AIによる学習支援の適切な境界を定義することも困難になりつつある。
ちなみに、教育分野を虎視眈々と狙っているのはOpenAIとAnthropicだけではない。Googleは教育分野向けにGemini AIを開発しており、Microsoft は教育に特化した製品にCopilotを統合している。AI企業が教育分野に群がってくる構図は、AIエコシステムにおいて教育分野が戦略的に重要であることを示している
- Source: Anthropic
- via: CNBC VentureBeat
- Coverage: OpenAI