任天堂はバッテリー駆動時間の短縮に言及を避ける
NVIDIA、Switch 2のグラフィック性能はDLSS活用で「Switchの10倍」と主張

任天堂が新型ハード「Nintendo Switch 2」(以下、スイッチ2)の詳細を発表してから約24時間後、NVIDIAは公式ブログにおいて「NVIDIA社製カスタムプロセッサー」に関する仕様の一部を明らかにした。
その中でも、超解像技術であるDeep Learning Super Sampling(DLSS)を採用していることを、初めて正式に認めた点は注目に値する。これによりスイッチ2は、初代スイッチと比較して「10倍」のグラフィック性能を実現しているとのことだ。
DLSSは、ゲームを低解像度で描画した後、学習済みAIモデルと専用のTensorコアを活用して、見かけの解像度を高める技術である。この技術により、処理負荷を大幅に軽減し、強力なプロセッサーを搭載していなくても、フレームレートの大幅な向上が可能となる。また、DLSSはレイトレーシングなど他の描画技術との併用も可能である。
グラフィック性能が10倍になるという主張は、おそらくマーケティング的な表現であり、実際のパフォーマンスはソフトウェアのタイトルごとに大きく異なる可能性がある。さらに、スイッチ2は現時点では長時間の使用を通じた評価が行われていないため、実際のプレイ環境における性能は今後の検証が必要である。
ただし、メディア向けの体験会では、『ストリートファイター6』『サイバーパンク2077』『シヴィライゼーションVII』といったタイトルが、スイッチ2で「非常にスムーズ」に動作していたと報告されている。
ほか、NVIDIAによる公式発表の主な内容は以下の通りである。
パフォーマンスとグラフィックスの向上
- RTコア(レイトレーシング専用演算ユニット):リアルタイムレイトレーシングをサポートし、現実的なライティング、反射、影の表現が可能。
- Tensorコア(行列演算に特化した演算ユニット):AI駆動の機能を強化し、DLSSによる高解像度化を実現。
ディスプレイと解像度
- TVモード:最大4K解像度でのゲームプレイが可能。
- ハンドヘルドモード:1080p解像度で最大120フレーム/秒の表示に対応し、滑らかなゲーム体験を提供。
- 高ダイナミックレンジ(HDR)対応:より広い色域とコントラストで、リアルな映像表現を実現。
AI技術の活用
- DLSSによる高解像度化:AIを活用したDLSS技術により、画像の詳細を維持しながら解像度を向上。
- AI駆動のビデオチャット機能:Tensorコアを活用し、顔追跡や背景除去などの機能を提供。ソーシャルゲームやストリーミング体験を向上。
ゲームプレイの向上
- NVIDIA G-SYNC対応:ハンドヘルドモードでの可変リフレッシュレートをサポートし、ティアリングのない滑らかなゲームプレイを実現。
開発者向けサポート
- 強化された開発ツールとAPI:ゲームエンジンや物理演算の改善、最適化されたAPIを提供し、迅速で効率的なゲーム開発を支援。
一方で、スイッチ2の主要開発者(公式サイト「開発者に訊きました」に登場したメンバーと同一)が囲み取材に応じている。
この取材では、NVIDIAブログとは異なり、具体的なスペックの提示よりも、消費者に対してどのような価値を提供できるかという姿勢がより強調されていた。また、現行スイッチと比較して短くなったバッテリー駆動時間については、明言を避けた格好となっている。
囲み取材で明らかにされた主な発言内容は、以下の通りである。
- DLSSおよびハードウェアレイトレーシングは、開発者が選択して実装できるツールとして提供される
- 初代スイッチ用ソフトは、エミュレーションによって動作する
- Bluetooth 3.0を採用し、接続性が向上
- 有機ELではなく液晶ディスプレイを採用しているが、HDRをサポートしている
- 上部のUSB-Cポートはビデオ出力に対応しておらず、下部のポートのみが対応している
これら2つの記事は相補的な関係にあり、どちらも読むことでスイッチ2の全体像をより深く理解することができるだろう。
- Source: NVIDIA Tom's Hardware