アニメーター諸氏の心境やいかに

GPT-4o画像生成、「ジブリ風画像」をユーザーが作りすぎて無料版停止に

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OpenAIは、ChatGPT(GPT-4o)に追加したばかりの「4o Image Generation」機能の、無料ユーザーへの提供を延期した。

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、画像生成ツールが予想以上にユーザーに利用されており、「残念ながら、無料ユーザーへの展開はしばらく延期になる」とXで述べている。

OpenAIは3月25日に、「4o Image Generation」機能をChatGPT Plus、Pro、および Teamのサブスクリプション加入者に追加したばかりだが、直後からユーザーはこれを使用してアプリ内で直接画像を作成できるようになった。リリース以来、ユーザーは特に写真をスタジオジブリのアニメ風の絵柄に変換してSNSに投稿するのを楽しんでおり、アルトマン氏もXのアカウント画像をジブリ風に代えてこのトレンドに乗っかっている。

だが、画像生成の要求が多くなりすぎたのか、機能を待ちわびていた無料ユーザーにも予定されていたこの機能の展開が延期されることになってしまった。記事執筆時点では、いつ無料ユーザーもこの機能を使えるようになるのかはわかっていない。

なお、4o Image Generationを試したユーザーは、ジブリアニメ風画像を簡単に作れることを喜んでいるようだが、当然ながらこのAIがどのようにしてこの画風を習得したかについては、すでに問題視する声があがっている。ここまで再現度が高いということは当然ながら、スタジオジブリが著作権を持つ画像や動画がAIの学習に使用されたことが十分に考えられるからだ。

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法的に「画風」に関しては、著作権法によって明示的に保護されるものではないため、AIがジブリアニメ風の画像を出力できたとしても即著作権違反とはならない。だが、AIを強化学習するために、ジブリアニメからひとコマひとコマを抽出して作成したデータセットを用いた可能性は十分にある。著作権で保護された作品でAIモデルをトレーニングすることが、米国の法律における「フェアユース」の概念に当てはまるかどうかは、まだ裁判所による判断が下されていない。

数年前から新聞社や出版社は、ウェブ上に公開しているものの著作権で保護された記事その他コンテンツを、AI企業が無断かつ適切な規則や支払いなしに強化学習に使用しているとして、OpenAIを相手に訴訟を起こしている。同種の訴訟はMetaやMidjourneyなど画像生成AIの企業にも起こされている。

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今回の件で言えば、OpenAIの言い分としては、ここのアーティストの画風をChatGPTで生成することは許可していないが、「より広範なスタジオのスタイル」を模倣することは許可しているとTechCrunchに述べた。だが、スタジオのスタイルというのものにしても、宮崎駿氏のように特定のアーティストのスタイルが色濃いものに関しては、OpenAIの理論は当てはまらないのではないだろうか。

ちなみに宮崎駿氏は以前、同氏を追ったドキュメンタリー番組の中で、AIに動きを学習させたキャラクターのアニメーションについて「極めて生命に対する侮辱を感じる」と述べ、アニメーションの作成にAIを使うことについて露骨に嫌悪感を示したことがある。

なお、4o Image GenerationはOpenAIが許可しないと主張している、特定のアーティストのスタイルをまねた画像も簡単に生成できるようだ。SNSには、4o Image Generationを使い、米国の絵本作家であるドクター・スースの画風をまねてに出力させたマーク・アンドリーセンの画像がアップされている。

マーク・アンドリーセンは、ウェブブラウザーのNCSA Mosaic~Netscape Navigatorを開発した人物だ。

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