まだTDP 15Wに固定

SteamOSを「ROG Ally」に導入したユーザー登場。ゲームの動作もスムーズ

Image:The Phawx

ゲームプラットフォームSteamを運営するValveは、自社製携帯ゲーミングPC「Steam Deck」に搭載しているSteamOSについて、他社製の携帯デバイスへの対応を進めている。今年4月以降に正式なインストールを許可する予定であり、3月以降にはベータ版の提供を開始する方針を発表していた

そうした公式リリースを待たず、あるユーザーがASUS ROG Allyに最新版のSteamOS 3.8をインストールすることに成功し、その結果をYouTube動画で公開している。

Valveは3月中旬にSteamOS 3.7.0のプレビュー版をリリースし、「非Steam Deck端末のサポート」を追加したと発表した。ただし、これはあくまで「サポートの開始段階」に過ぎず、Steam Deck以外のデバイス向けに正式なインストール手順は公開していない。現時点でSteamOSに正式対応している製品はLenovoのLegion Go Sのみであるが、これも将来登場予定のバージョン(SteamOS搭載モデルは5月発売予定)である。

次期SteamOS 3.8はまだ一般公開されていないが、YouTuberのThe Phawx氏が何らかのルートで入手し、ROG Allyへのインストールに成功したと報告している。

ROG Allyは標準でWindows 11を搭載しており、多数のプリインストールソフトが存在する。そのため、ゲームに全ての処理能力を割り当てられず、プレイ中に他のアプリが誤って起動してしまうこともある。このような事情から、多くのユーザーがゲームに特化したSteamOSへの正式対応を待ち望んでいる。

現時点でもSteamOSはROG Ally上でほぼ完璧に動作しているが、いくつかの制限がある。最も大きいのは、TDP(熱設計電力)が15Wモードにロックされている点である。ROG AllyのTDPは10W〜30Wであり、15Wでは最高のパフォーマンスを発揮できない。一方、Steam DeckのTDPは最大15Wであるため、両者を公平に比較できるだろう。

ゲームのベンチマーク結果によれば、ROG AllyがSteam Deckを上回るタイトルもいくつか存在する。パフォーマンスの差は大きくないものの、全体としてゲームはスムーズに動作している。正式リリース版ではTDP制限も解除されると見られ、ROG Allyやその他の携帯ゲーミングPCが本来の性能を存分に発揮できるようになるだろう。

Image:The Phawx

SteamOSは携帯ゲーミングPCだけでなく、今後はデスクトップPCにも対応すると予想されている。高価な最新GPUを搭載していなくとも、多くのSteamゲームを快適にプレイできることが期待される。

関連キーワード: