体操やダンスだけでなくカンフー技もマスター
Boston Dynamicsのヒト型ロボ「Atlas」最新動画が公開。体操技を完璧にこなす

早くから高い運動能力を備えるロボットを開発してきたことで知られるBoston Dynamics。同社は、最新の電動ヒューマノイド「Atlas」が、しなやかな動作で走ったり、四つん這い歩行をしたり、倒立前転をしたりする動画を公開した。
これまで、跳んだり跳ねたり、パルクールしたりと、派手でわかりやすい動きをロボットに披露させてきたBoston Dynamicにしては地味な内容に見えなくもない。だが、終盤にはアクション俳優のような側転動作をするなど、これまでに見られなかった動きも披露している。
ここ最近のロボット業界、特にヒューマノイドにおいては、工場のラインに試験的に配置して、人と同じ場所で仕事をさせて実用化を目指す企業が増加している。もちろんBoston Dymamicsもその一翼を担ってはいるのだが、この会社は歴史的に一般的な人間を超える身体能力をロボットに備えさせることにも熱心だ。
今回の動画にも、そんなBoston Dynamicsの高い技術力と気概が溢れているように思える。特に動画の最後付近で見せる、ジャッキー・チェンの映画で出てくる旋掃腿のような動作(ブレイクダンスで言う片足旋回)は、世代によっては唸らせられるかもしれない。
ただ、「ロボットだらけの大運動会」的な企画があれば長年チャンピオンを獲得してきたであろうBostron Dynamicsも、その地位は安泰ではない。
中国のUnitreeは3月19日に、小柄で軽量なヒューマノイド「G1」が、さらには、側方宙返りに成功する動画まで見せている。
これらのロボットがスムーズな動きを見せられるようになったのは、人間を超える自由度を持つ身体各部の関節や、それを駆動するアクチュエーターが油圧から電動に変わって小型軽量化が進んだからだ。そして、モーションキャプチャー技術によってモーションアクターの動きを取り込み、そのデータで強化学習した人工知能(AI)も大きな役割を果たしている。Boston Dynamicsの場合も、Atlasが搭載するAIの強化学習を、提携するAI企業のRobotics and AI Institute(RAI)が担当している。
なお、中国にはもうひとつ、Boston DinamicsのAtrasとUnitree G1に比肩するヒューマノイドがある。中国のロボット開発企業Engine AIは、バク転よりも難しいと言われる前方宙返りを披露するロボットの動画を数週間前に公開した。そしてこの会社は、つい数日前には同社のヒューマノイド「PM1」が、チャウ・シンチーの映画『カンフーハッスル』に登場するギャング「斧頭会」を模したダンスを踊る姿を披露している。
ロボットにダンスをさせるには、ただ動かすだけでなく、リズムを外さないようタイミングを合わせて動作させる必要がある。動画に細工がされていないのであれば、このロボットは非常に高い動作精度を備えていることになる。以前なら、ロボットにダンスをさせるのはBoston Dynamicsの専売特許だったが、もはやマイケル・ジャクソンを完コピするヒューマノイドがどこかから現れるのも時間の問題かもしれない。
- Source: Boston Dynamics(YouTube)