1回の充電で1か月動きます
スマートウォッチの先駆け「Pebble」が創業者の手で復活。PebbleOS搭載の2製品が発売

2012年にクラウドファンディングサービスKickstarterで当時最高となる1030万ドルの合計出資額を集め、スマートウォッチのはしりとなった「Pebble」が帰ってくる。
Pebble創業者であるエリック・ミジコフスキー氏は、新たに設立したCore Devicesから、いまはオープンソースになっているPebbleOSを搭載するスマートウォッチ2製品「Core 2 Duo」と「Core Time 2」を発表した。
Pebbleと言えば、最初のモデルは液晶モデルだったものの、第2世代となる「Pebble Time」でディスプレイに省電力の電子ペーパーを採用し、1度の充電で約7日間は駆動できる長寿命さがユーザーの興味を惹きつけた。
だが、第3世代のスマートウォッチ製品である「Pebble 2」を発売した2016年の暮れに、Pebble Technologyは破産を申請。フィットネス向けのウェアラブルデバイスを開発するFitbitが、Pebbleの製品のOSやアプリ、クラウドサービスといったソフトウェア資産と人員を2300万ドルで買収した。その後さらに、2019年にはGoogleがFitbitを買収したことで、PebbleのIPもGoogleの手に渡った。
今年1月、Googleで死蔵されていたPebbleOSをオープンソース化することを発表。2月3日には、ミジコフスキー氏がPebbleOSを採用する新しいスマートウォッチ製品を開発中だと述べた。
今回発表された Core 2 Duo と Core Time 2 は、まさにミジコフスキー氏が2月に予告していたものだ。
意図したのかどうかは不明だが、PC用CPUがマルチコア化し始めた当初に最も人気を博したCPUと同名の Core 2 Duoは、バッテリーの持ちがPebble 2の7日間から30日間に延長している。これは主にBluetoothチップの効率性が大きく向上したことが効いている。さらにスピーカーも内蔵し、AIチャットボットと音声による会話が可能だ。
ただ、それ以外においては基本的に、Core 2 DuoはPebble 2の基本機能をそのまま引き継いでいる。1.26インチ・144x168px解像度のモノクロディスプレイ(バックライト付き)、ポリカーボネート製のケーシング、ケース側面には4つの物理的な操作ボタンが装備されている。センサーは6軸の慣性計測ユニット(IMU)および気圧計を搭載。その他動作を知らせるリニア共振アクチュエーターなども備える。このアクチュエーターは従来の振動モーターより静かで強力とのことだ。防水性能はIPX8で「継続的に水没しても内部に浸水しない」とされる。
Core 2 Duoと同時に発表された「Core Time 2」は、Pebble Time 2のデザインと機能をアップデートしたものであり、新たに64色を表示可能な1.5インチ・200x228pxのタッチスクリーンを搭載する。ケース側面に4つの操作ボタンを備え、センサー類やリニア共振アクチュエーター、防水性能を表す保護等級などはCore 2 Duoと同様だ。
価格は、Core 2 Duoが149ドル(約2万2000円)、Core Time 2は225ドル(約3万3700円)を予定。出荷予定は前者が2025年7月、後者は12月になる見込みだ。全世界的な大量生産を意図していないため、販売はstore.rePebble.comでのみ行われる。
ただし、製品製造やソフトウェア面でもまだまだやるべきことが残っているため、金属製フレームの材質や最終的なカラーオプションを含む詳細は、今年後半に改めて公開される予定だ。また、ミジコフスキー氏はこの製品はまだスケジュールが遅延する可能性があると述べている。特に、トランプ政権による関税引き上げには警戒をしているものの、それによるコスト増は顧客に転嫁せざるを得ないとのことだ。
ミジコフスキー氏は、上に記したような懸念材料もあるものの、年月を経て再びスマートウォッチを開発・製造できることを喜んでいるようだ。ミジコフスキー氏はThe Vergeに対し、「私は、この製品を何百万個も売るために会社を作ったわけではない」「目標は、自分が本当に欲しいものを作って売ることだ」と正直に述べている。
余談だが、Core 2 DuoのDuoは「Do Over」の略だと製品のウェブサイトで解説されている。「Do Over」は日本語では「作り直す」ことを意味する。つまり、数年前に終了したPebble 2を現在の仕様で作り直したのがCore 2 Duoだと言えるだろう。
また、Core 2 Duo、Core Time 2両製品のために、AndroidおよびiOS向けのコンパニオンアプリが提供される予定だが、このアプリの開発にはかつてのPebbleのスタッフが携わっており、新しいPebbleOSウォッチフェイスやアプリを作成するための新しいSDKの提供にも取り組む予定とのことだ。
その他、ミジコフスキー氏は今回の製品開発に絡んで、アップルがGoogleに比べ非協力的だと愚痴をこぼしているようだが、そのあたりについては別記事をご参照いただきたい。
- Source: Eric Migicovsky store.rePebble.com
- via: The Verge