新機能もAndroid版を優先

新型Pebbleウォッチ、アップルの制約により「iOSアプリはAndroid版より機能が劣る」と予告

Image:Core Devices

Pebble創業者のエリック・ミジコフスキー氏が設立したCore Devicesは、新たにPebbleOSを搭載したスマートウォッチ2機種を発表した。「Core 2 Duo」(149米ドル)と「Core Time 2」(225米ドル)ともにオンラインでの予約注文でのみ入手でき、店頭では販売されない。

これらは以前のPebbleウォッチと同じく、iOSとAndroidの両方と互換性があり、iPhoneともリンクできる。が、ミジコフスキー氏はアップルの制約により、Apple Watchのような数々の機能は実現できないと警告している。

ミジコフスキー氏はブログにて、Pebbleウォッチを開発していた当時から、iPhone上でのスマートウォッチ体験がAndroidよりもはるかに難しいと実感していたという。それから8年後の今、状況は「さらに悪化した」として「Apple Watchの機能を完全に再現することはサードパーティには不可能だ」と述べている。

iOSにおけるスマートウォッチ機能の制約は、具体的には次の通りだ。

メッセージング機能の制限
– SMSやiMessageの送信が不可能
– Pebble側からのメッセージ返信ができない
– 以前はキャリアとの独自契約でSMS送信を実現していたが、現在はアップルがこれを禁止

通知関連の制限
– 通知への返信や「完了」などのアクションが実行できない
– 通知を送信するためには、iPhoneのロック画面で「通知のフルプレビュー」を有効にする必要がある(iOS 13以降の新制約)
– スマートウォッチがiPhoneの使用状況を検出できないため、iPhoneを見ている最中でもPebbleが通知を表示してしまう

iOSアプリとの連携が困難
– iOSにはAndroidのような「インタープロセス通信(IPC)」の概念がないため、Pebbleと他のiOSアプリの連携がほぼ不可能
– 他のアプリ(Stravaなど)と連携するために独自SDKを公開していたが、BLE(Bluetooth Low Energy)接続をアプリごとに個別に実装しなければならず、開発者にとって使いづらい

アプリの動作・配信に関する制限
– PebbleのiOSアプリが閉じられると、Pebbleウォッチはアプリやインターネットにアクセスできなくなる
– iPhoneではサイドローディングができないため、PebbleのiOSアプリはApp Storeで提供する必要がある
– サードパーティ製のウォッチフェイスやアプリの販売が困難(App Storeのルールにより、Pebbleアプリ内での販売プラットフォームが作れない)

さらにミジコフスキー氏は、PebbleアプリはApp Storeを通じて提供する必要があり、「巨大な苦痛」だと嘆いている。アップルはアップデートのたびに「ランダムな審査員」が「でたらめな理由」をつけて更新を拒否するリスクがあるため、サードパーティのウェアラブル開発者がApple Watchと同等の体験を提供するのは「ほぼ不可能」だと指摘している。

アップルはこうした制約を「セキュリティやプライバシーの保護、より良いユーザー体験のため」と主張している。が、ミジコフスキー氏は「実際には市場支配力を利用して、消費者をアップルのエコシステムに閉じ込めているだけだ」と批判している。

それでもiPhoneユーザーのためにアプリを開発するが、機能はAndroid版に比べて劣ることを前提にしているという。ミジコフスキー氏は「アップルのせいだ」と明言しつつ、「機能制限についての苦情を聞きたくないので、事前に情報を共有している」として「もしも気になるなら、一番簡単な解決策はAndroidスマホを買うことだ」と述べている。ほか、開発チームの大多数がAndroidユーザーのため、新機能はまずAndroid版に実装するとのことだ。

さらに「Pebbleに興味のあるiPhoneユーザーは、アップルに大声で抗議するか、Androidに乗り換えるべきだ」と主張し、米国の議員に向けてアップルの規約を変更させる法律を支持するよう呼びかけている。

かつてミジコフスキー氏はBeeper社のCEOとして、Android端末でiMessageを使用できるようにするBeeper Miniアプリの開発を主導していた。アプリのリリース後、アップルは繰り返しブロックしたことで、ミジコフスキー氏も同社との対立姿勢を鮮明にしていた経緯がある

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