米国の知的財産権法を無視という提案も

米国との貿易戦争を終わらせる方法、一部カナダ人が「Pornhubへのアクセス禁止」を提案

Image:rawf8/Shutterstock

アメリカのトランプ大統領がカナダ製品に対して25%の包括的関税を課すと発表して以来、両国の貿易関係は悪化している。さらに、トランプ氏が「カナダを米国の51番目の州にする」と発言したことが、カナダ国民の反感を買っている。

こうした状況の中、一部のカナダ人は「米国の知的財産法を無視し、脱獄ソフトを輸出する」、あるいは「ポルノサイト大手Pornhubへのアクセスを禁止する」という報復策を提案している。

先月、カナダのSF作家でテクノロジージャーナリストのコリー・ドクトロウ氏は、「カナダが米国のテクノロジー企業の知的財産権を保護しなかった場合、どうなるか?」という論文をカナダ政策代替センターに発表した。

米国のテクノロジー企業は、アプリストアやソフトウェアのロック解除料金などで多額の手数料を徴収している。例えば、アップルやGoogleはアプリストアの取引ごとに30%の手数料を設定し、John Deere(農業機械メーカー)は高額なロック解除料金を課している。さらに、Teslaをはじめとする自動車メーカーは、高度な運転支援機能を有料オプションとして販売している。

ドクトロウ氏の提案は、米国製品に課税するのではなく、米国との貿易協定を見直し、テクノロジー企業の知的財産権保護に関する合意を撤回することだ。具体的な方法として、以下の施策が挙げられている。

  • カナダ独自のアプリストアの創設:カナダのソフトウェア開発者が、アップルの30%手数料ではなく約5%の手数料でアプリを販売できるプラットフォームを構築
  • グローバル展開:このアプリストアを米国やその他の国の開発者にも開放
  • 脱獄キットの提供:世界中のユーザーがカナダ製アプリストアをインストールできるように、脱獄キットを提供
  • 農業機器や自動車の脱獄:John DeereのトラクターやTeslaの車両のロックを解除できるソフトウェアやデバイスを開発

もっとおかしな提案が、トロント在住のコメディアン、マシュー・プジツキーがInstagramに投稿した動画で行われた。そこでは、米国人のPornhubへのアクセスを制限することが「秘密の核兵器」だと表現されている。Pornhubの親会社Ayloはカナダ企業であり、同サイトには毎月何百万人もの米国からのアクセスがある。

この動画はThe New York Postにも取り上げられ、プジツキー氏は取材に対し「貿易戦争なんて存在しない。もしカナダがPornhubを禁止すれば、貿易戦争に勝てる」とコメントしている

すでにPornhubは、米国の17州(テキサス、フロリダなど)でアクセスが制限されている。これらの州では年齢確認法が施行されており、特定の条件を満たさないコンテンツには身分証明書の提示が求められる。これに抗議する形で、Pornhub側はこれらの州でのサービス提供を停止している

第2次トランプ政権のもと、米国とカナダの関係は混乱を極めており、今後どのような事態が発生しても不思議ではないだろう。

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