ChatGPTには真似できない強み

Google Gemini、検索履歴に基づいたパーソナライズが可能に

Image:Sadi-Santos/Shutterstock.com

Googleは、Geminiにパーソナライゼーション機能を追加し、過去の検索履歴に基づいた回答を可能にした。多くのAI企業がチャットボットを展開するなか、同社は最大の競争優位性を活用するかたちとなる。

この新機能は、実験的なGemini 2.0 Flash Thinkingモデルを活用しており、AIモデルが「役立つ」と判断した場合のみ、ユーザーの検索履歴を参照する。例えば、レストランや旅行のおすすめをGeminiに尋ねると、最近の食品関連の検索をもとに提案を行う。

なお、検索履歴の紐付けはオプション。Geminiアプリで「Personalization (experimental)」をドロップダウンメニューから選択した場合のみ有効となる。Googleによれば、検索履歴はいつでもGeminiから切断できるとのこと。回答を出力する際には、Geminiは回答を導いた方法の概要や、参照した保存データ、過去の会話や検索履歴を使用したかどうかも表示する。

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この新機能は現在、GeminiおよびGemini Advanced登録者向けにウェブ上で提供されており、モバイル版でも順次展開中だ。45以上の言語に対応し、世界中の大多数の国で利用可能となっている。また、今後数か月以内に YouTubeやGoogleフォトなど、他のGoogleサービスとも連携し、「ユーザーの活動や好みをより広く理解することで、より個人に合わせた洞察を提供する」予定とのことだ。

Googleは世界で最も利用されている検索エンジンであり、その膨大なユーザーデータへのアクセスは他のAIチャットボットにはない強みだ。ChatGPTなどの競合サービスは、Googleほど広範なユーザーデータを利用できず、個人アシスタントとしての精度や利便性では後れを取る可能性がある。

さらに、Googleは有料プラン「Gemini Advanced」(月額2,900円)でのみ利用可能だった「Gems」と「Deep Research」を無料ユーザーにも解放した

  • Gems:特定のタスクに特化したカスタムAIアシスタントを作成できる機能
  • Deep Research:ユーザーに代わって詳細な調査を行うAIエージェント

マイクロソフト、Google、Metaなど、多くのハイテク大手が AIチャットボットやLLM(大規模言語モデル) に参入しているが、いずれの企業も莫大な投資をしながらも収益化には苦戦しているとみられる。最も多くのユーザーを獲得している OpenAI(2月時点で週間アクティブユーザー4億人超)も安泰とは言えず、今後も熾烈な競争が繰り広げられそうだ。

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