「ジョブズを見ならえ」とのこと
Apple IntelligenceとSiriの開発遅延、アップルの対応に批判

アップルは音声アシスタントSiriの新たな機能について、「思ったよりも時間がかかりそう」として、2026年に延期するとの声明を出した。この件について、複数の識者から痛烈な批判が浴びせられている。
ひとつは、アップルに関するコメントで知られるJohn Gruber氏だ。同氏が主催するトークショーにはアップル幹部が出演するほど近しい関係にあり、「アップルのファンボーイ」と呼ぶメディアもある。上記のアップル公式声明も、Gruber氏のブログに寄せられたものだ。
Gruber氏は、昨年のWWDCで「パーソナライズされたSiri」を近日公開と予告したことが「デタラメ」であり、アップルが「危機とは言わないまでも混乱状態」だと主張。そして、同社の信頼性が損なわれたというのも控えめな表現で、実際には「浪費」されたと述べている。
ちなみに、パーソナライズされたSiriは次の3つの新機能を意味している。
- パーソナルコンテクスト:「母の飛行機はいつ到着するのか?」といったことが理解できる
- 画面上の認識:「この住所を彼女の連絡先カードに追加する」等ができる
- アプリ内アクション:「この写真をポップに加工して、マイアミ2025年のメモに追加する」など
また、アップルはiPhone 16のAI機能をアピールする広告をひっそりと削除しつつ、公式サイト上では「将来のソフトウェアアップデートで利用可能になります」との免責事項を追加して宣伝し続けている。
Gruber氏の批判に戻ると、製品の主張は4段階で評価できるという。デモンストレーションもできない「コンセプトビデオ」は、ただの「デタラメ」であり、それは「ペーパーウェア」(実在せず、紙の上だけに存在する)と呼ばれるのだと述べている。
さらに同氏は、かつてスティーブ・ジョブズがMobileMe(個人向けクラウドサービス。iCloudの前身)が大失敗した際にチーム全体を集めた会議を開き、「なぜ、この製品は宣伝通りに機能しないのか」「アップルの評判を傷つけた」と叱責し、サービスを終了させた前例を挙げている。そして、現在のティム・クックCEOも、同様の会議を開き、SiriとApple Intelligenceの失態に対処し、修正すべきだったと指摘している。
もう一つは、アップルのサプライチェーンに精通するアナリストMing-Chi Kuo氏だ。同氏も、アップルがApple IntelligenceとSiriの開発遅延を「非公式のチャンネル」(John Gruber氏のブログ)を通じて発表したことを「最悪だ」と述べている。あくまで、公式のプレスリリースを出すべきだったというのだ。
Kuo氏は、2010年にiPhone 4が発売された際の「アンテナゲート」(薄型化のためのアンテナ設計ミスで、電波の受信強度が大幅に低下した)での危機と、ジョブズ氏の対応を例に挙げている。ジョブズ氏は自ら顧客からの多数のメールに返信し、記者会見を開催。さらにiPhone 4の全ユーザーにバンパーを無料で提供し、それでも不満を持つ顧客にはiPhoneを返品できるようにすると発表した。
クック氏も2012年、iOS 6のマップアプリに批判が殺到した際に公開書簡を発表し、期待に応えられなかったことを謝罪していた。今回も、同様の対応が求められるのかもしれない。
- Source: Daring Fireball Ming-Chi Kuo(X)
- via: 9to5Mac MacRumors