OpenAIの5000億ドル投資計画にもナデラCEOは冷ややか

マイクロソフト、OpenAIとの関係悪化?独自の推論モデルを開発中か

Image:Shaheerrr/Shutterstock

マイクロソフトがOpenAIとの提携解消を検討している兆しが増えているなか、同社が独自の「推論」モデルを開発しており、AIチャットボット「Copilot」の核となるChatGPTに代わるものとして、xAIやMeta、DeepSeekのモデルもテストしているとの噂が報じられている。

両社のパートナーシップが始まったのは、2019年にマイクロソフトがOpenAIに10億ドルを投資したことだ。2021年には第2段階、2023年には第3段階として複数年にわたる100億ドルもの投資が発表され、その関係は盤石とみられていた。

だが、ニュースメディアThe Informationは、OpenAIが推論モデル「o1」の技術的な詳細に関するマイクロソフトの要求を拒否したことが、両社間の緊張を高めていると報じている。

マイクロソフトは1月、OpenAIのホスティング全てにAzureの使用を義務づける契約を解除したと発表した。これによりOpenAIは他のクラウドプロバイダーを自由に利用できるようになり、オラクルやソフトバンクと共同で合計5,000億ドルをAIデータセンターに投じる計画も可能になったのだろう。

それらは反面、マイクロソフトがOpenAIにより多くのリソースを提供することに後ろ向きだと示す兆しでもある。同社のサティア・ナデラCEOも、上記のAIプロジェクトを批判するマスク氏の発言に対して「800億ドルで十分だ」「この投資はAIを誇大宣伝するものではなく、現実世界に役立つものを作ることだ!」と返信。とても親密なパートナー企業に投げかける言葉とは思えない。

こうした関係悪化を受け、マイクロソフトは独自のAIモデルを加速させているという。OpenAIのo1や「o3-mini」に匹敵する独自の「推論」モデルのほか、「MAI」と呼ばれるモデルファミリーも開発しており、今年後半にAPI経由で提供することも検討しているとのこと。

上記のo1をめぐる両社のあつれきは、The New YorkTimesも報じていたことだ。マイクロソフトのAI部門CEOであるムスタファ・スレイマン氏が仕組みの説明を求めたところ、OpenAI側が詳細な資料を提供しなかったという。ビデオ会議でスレイマン氏がOpenAI従業員に対して声を荒げて、契約上の義務を果たしていないと叱責したとのこと

マイクロソフトは、ChatGPTの優位を脅かすと騒がれたDeepSeek R1のホスティングを提供中だ。数年前のOpenAI一強だった頃とは事情が異なり、多くの大規模言語モデルが競い合う今となっては、両社の蜜月時代が終わるのも必然かもしれない。

関連キーワード: